第1章:新入生クエストは波乱万丈⁉

19/41
前へ
/52ページ
次へ
「ユキハ、もう起きれるか?」 「ゼロ先輩……っひゃ⁉」   いつの間にか全員集合していることに気づき、ユキハは一人眠っていたことに申し訳なさを感じ、身を縮める。 「おはよ、ユキハ。悪夢は見なかったか? これからユキハの武器を選定するらしいぞ。武器との出会いは運命の出会いみたいなもんだから楽しみだな! で、どうやって決めるの?」   マグナは不敵な笑みを浮かべ、右手を空中に突き出す。 「『夢現領域展開:アスラ』」   すると空中に一メートル大の穴が開き、マグナはその中を探ると一つの球体を取り出し、それをユキハに手渡した。 ユキハとトウヤはそれをまじまじと見つめ、アイリスとカレンは言葉を失う。 「これは……?」 「それは火の古代武器【紅蓮】だ。古代武器ってのは初代獣騎士が生み出したっていう伝説の武器で、アイリスの武器【時雨】、カレンの武器【焦土】、そしてモノの武器【疾雷】。この三個もそれだし、その紅蓮は焔日が後の火獣騎士の為に遺した伝説の武器なんだよ。紅蓮は契約者の魂と融合し、最も適した形の武器に変えるんだ。んで、その武器には焔日の力が宿るっていうおまけ 付きの伝説のブツってわけ。ま、誰も契約してないしいいかなと思ってさ」 「じゃあそんな簡単に、しかも火一族外の人に譲渡ってまずいんじゃ……」 「えぇ……紅蓮は古代武器の中でも【旋風】と並んで伝説で、同じ獣の一族である私達でさえ拝見するのは初めてですわ」 「うん。噂では火のご当主が管理しているって伝え聞いていたけど……」   マグナはピースサインを作り、ゼロと声を合わせて言った。 「「面白ければなんでもいいっしょ(だろう)」」 「面白ければって、先輩本当に何でもありだな⁉」   そんな言葉を漏らすトウヤに、マグナはぷんぷんと頬を膨らませる。 「これを手に入れるのほんっとうに大変だったんだからな⁉ この三日間でめちゃくちゃ探したんだから! ほら、ユキハ、これに魔力込めて持ってみろよ。面白いぞ?」   マグナの指示を受け、恐る恐るユキハは紅蓮に魔力を込めていく。 すると紅蓮から悲鳴じみた声が上がり、驚いたユキハは紅蓮を投げ捨ててしまった。 地面に転がった紅蓮から白い煙が立ち昇り、それが収まったかと思うと中から非常にコミカルな火龍が飛び出てきた。
/52ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加