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「簡潔にこれからの流れを説明するぞ。ここから氷河の洞窟まで転移で飛んで、洞窟を抜ける。
この洞窟には多数のガーゴイルが出現するから対処が必要だ。それを抜けた先に広がるのがデパルト平原で、この平原にマンティアコアが出没したという情報が出ている。
こいつを討伐するのが今回のクエスト目的だ。
本来なら今回のクエストはカレンとアイリスに任せて二人には見学させるつもりだったんだが……トウヤ、なんか燃えてるなぁ? どした?」
「そりゃさっきのユキハ見てたら燃えるでしょ! それに強くなってるか試すいい機会じゃん」
闘志に燃えるトウヤにカレンとアイリスはくすっと笑う。
「なーんか、トウヤって子供の頃の誰かさんとそっくりだよねぇ」
「あぁ? 誰とだよ。確かに二人に実戦経験を積ませるのはありだな。んじゃ、ガーゴイルの対策法は最初お前ら二人が見せて、そっからトウヤとユキハ主軸で戦うでいいか?」
「うっす! ありがとな、先輩」
そこまで話がまとまった所で、目を覚ましたモノが弱々しくマグナの背に顔を埋めた。
「ねぇ、今日は僕起きてていい?」
マグナは少し悩んだ後モノを眼前に立たせる。そして特注されたマントのファスナーを下すと、そこには白い戦闘服を着込んでおり、両腕と両足には黒いベルトをぐるぐると巻き付け金具で留めていた。
「そうだなぁ。ここまではちゃんといい子に眠ってたし、今日一日は大目に見るか。お前はどう思う?」
「お前に任せる。それがお前の役目だろう。だが、何があっても『成るな』。それが絶対の約束だ」
転移の陣の準備を終え戻ってきたゼロにも同意を得られたことに、モノは喜びを隠せず小躍りする。
まるで尻尾をぶんぶんと振り回す子犬みたいだなんてユキハが思っていると、マグナはモノの額を弾いた。全員の心の準備ができたところで、一同は氷でできた洞窟の入り口まで転移した。
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