第1章:新入生クエストは波乱万丈⁉

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「あ、あのバカ!」 慌ててカレンはトウヤとガーゴイルの間に銃弾を放ち、その衝撃で二者の間に距離ができた。 「なんで領域展開しなかったんだろう……」 「きっとユキハ様にかっこよいところを見せたかったのではないでしょうか」 「失敗失敗。『領域展開:紫電万雷』そんでもって……『我が身に雷神の力舞い降りて、雷獣の神速ここに得ん』」   カレンが与えた刺激が適度によい気分転換となり、トウヤは半径一メートル程の領域が展開されグローブに雷を灯し、グローブには雷の爪が生み出された。 「発動時間に魔力の質。合格ラインだ。ユキハ、雷属性の特性は?」 「えっと確か分解ですね」   いつの間にか機嫌を直したゼロはユキハの隣に立ち雷の魔力付与の特徴を説明する……のだが、トウヤの攻撃は全て直線的で、全ての攻撃が紙一重でかわされているのを見てため息をつき、ユキハは苦笑を漏らした。 「あぁ、もう!」 「ちょっと頭を冷やしな! 大丈夫、ユキハにはあたし達がついてる。のびのびやればいいよ」   空回りし続けるトウヤにカレンは冷静になるように伝えるが、それもうまく届いていないようで、マグナはトウヤに一度引きように指示を出した。 「え⁉ なんで?」 「仲間を危険に晒したいのか? まだ早かったってだけだ。戦闘の機会はこれからいっぱいあるからここはひけ」   その指示にトウヤは驚きと悔しさに唇を噛みしめるが、拳を血が出んばかりに握りしめ距離を取ろうとすが、その悔しさをトウヤと共有し、同じように拳を握りしめる存在が一人いた。
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