第0章:はじまりは突然に

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「ユキハ⁉ 大丈夫か? 怪我はない?」 「私は大丈夫……だけど、おじさんが、おじさんが――」 咄嗟にトウヤを払いのけ崩れ落ちたテントに近づこうとするユキハの肩を取り引き留める存在がいた。 「今近づくのは危ないからやめておけ。マグナ、そっちはどうだ?」 その声に驚き振り返ると、長めの白髪で右目を隠した高身長の男性が立っていた。 「お、ゼロも来たか。このトラブル生成体質、こりゃ本物だな。こっちは大丈夫だ。モノもいるんだろ? よろしく頼むわ」 「もち、僕もいるよ!オッケー、任せてちょ」 ゼロと呼ばれた青年の背中にはまだ年端のいかない金髪の少年が張り付いており、身軽に飛び降りると笑みを浮かべ領域を展開させる。 すると空中のいたる所で放電が始まり、それに呼応するようにテントが浮んだかと思うと、ゆっくりと元の形に戻っていった。 そしてテントの下からは、店主を庇う赤髪の青年と、同様に結界を張っていた二人の女性が姿を現し、改めて店主の無事を確認し立ち上がるとユキハの元に歩みを進める。 五人はユキハ達と同様に白い制服を身にまとっており、ゼロを除く四人は頭に文様が描かれた白い面をかけており、それを見たユキハは首を傾げた。 「白い、動物の、お面……?」 「ユキハに代わってお礼言うよ。助けてくれてありがとな」 「僕は我が君のために助けたのであって、あんたにお礼言われる筋合いないから」 そんな悪態をつくモノの頭に、ゼロは容赦なく拳を振り下ろす。 その衝撃にモノは悪態をつこうとするも、ユキハが視界に入り慌てて赤髪の青年の背に隠れた。
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