第1章:新入生クエストは波乱万丈⁉

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ドレイクの最期を看取ったマグナは地面に降り立つも、一気に強い疲労感に襲われ膝をつく。 「たく、久しぶりに成ったせいだな。魔力不足か……でも、あいつらを早く追わないと――」   小さく響いた物音に、マグナは肩で息をしながら感覚を尖らせていくと、こちらを見つめてくる複数の存在を感じ取った。 「五体か――しかも成獣ときた。はは、あのガキの復習戦ってか? だがな、こんなとこでお前らにくれてやるほど俺の命は軽くないんだよ」   マグナは残り少ない魔力を再度練り上げ、先程と同じ姿に代わるが、人型で接近していた五体のドレイクも真の姿を現す。 先程のドレイクもニメートル程の大きさだったが、この五体はその倍以上の大きさと、頑丈さを誇る。 しかし不思議なのは、何かの合図を待っているのか、それとも興味心なのか、どの個体も攻撃行動に移らない点だ。 そして一体の合図で一斉に火炎の渦を吐き、あっという間にマグナを飲み込んでしまう。 「ちくしょ……ドラゴン族が集団行動とるなんて……」 「マグナ、お前はその程度の男か?」 「ゼロ⁉」 突如ゼロの声が響いたかと思うと、マグナを取り囲んでいた炎の渦が切り祓われ、視界の先にはゼロの姿があった。 「お前、なんでここに……」 「これだけ大きな魔力が動けば流石にわかる。【蒼き龍】か。その姿なら俺の隣に立てるだろう」   そう告げると、ゼロの銀髪は漆黒に染まり、こめかみには黒い角が生えた。 そして両目とも深紅に染まる。 その姿を見たマグナは楽しそうに笑い返した。 「久しぶりに見たな。お前の真の姿。最上級魔獣ドレイクドラゴン五体。お前となら簡単だ。そうだろ? ゼロ」 「当たり前だ。さぁいくぞ」
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