第1章:新入生クエストは波乱万丈⁉

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その頃四人はカレンの索敵をもとに草原を駆け抜けていた。 しかしどうしても、特にユキハとトウヤの脳裏にはマグナとの別れが刻まれており、ついにトウヤが足を止めてしまった。 「トウヤ君! 足を動かして!」 「マグナ先輩が……俺のせいで……最上級魔獣って、一個師団レベルの軍人が集まらないと対抗できないって言いますよね⁉ 先輩は子供だからって言ってたけど、俺が近づいたから……先輩に何かあったら……」 そう呟くトウヤにユキハも感化され、不安そうにカレンたちの顔色をうかがう。しかし意外にも二人は笑みを返した。 「なにその顔……二人は心配じゃないんすか⁉」 「うん、マグナなら大丈夫。私は信じてるから。ちゃんと帰ってくる。今は二人を安全な所に連れていく方が先」 「そうですね。マグナなら大丈夫です。彼は過去の守護者の中でも、火の一族の中でも歴代最強で天才と謳われてるんです。そして、彼は王龍の生まれ変わり。ドラゴン族の全てを統べる王なんですよ。ああ見えて」 「ね! ああ見えて。だから今は逃げるよ。ちゃんと再会するためにさ!」   強い意思は今度こそ二人にしっかりと届き、四人は再度走り出す。 その振動でモノは目を覚ましたようで、周囲を見渡すと一瞬で自分達が置かれている状況を把握したらしく、覚醒具を手にした。 「起きた? 気分はどう?」 「悪くない。なるほど、マグナ兄が足止めしてるのか。で、二人はマグナ兄が心配なの?」   モノの指摘に、ユキハは押し込めていた不安を一気に開放させる。 「僕達のことを心配しすぎだよ。でも、ユキハ姉の不安が軽くなるなら教えてあげる。……三体のドレイクに囲まれてる。でも大丈夫、ゼロ兄と合流してるよ。あとは時間の問題ってとこだね。……みんな止まれ!」   マグナの無事を知った一同は安堵し走るスピードをあげようとするが、モノは急遽それを制した。
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