第1章:新入生クエストは波乱万丈⁉

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ルルによる攻撃の直前、ゼロはルルの背後よりルルの背から腹にかけて持ち前の黒刀で容赦なく貫いた。 今まで傍観を決め込んでいたフェルも、ルルへの攻撃を見て威嚇を始めるが、ゼロの赤い瞳で見つめられると静かにその場に伏せるのだった。 ゼロは黒刀をルルから抜き、回し蹴りにてルルの頭を地面に叩きつける。地に落ちたルルは獣化が解け元の少女の姿に戻った。 「私達の仲間を傷つけたのはそっちが先のくせに……」 「それは俺達ではない。さぁ、おとなしく手を引け。さもなくば今度こそ叩き切る」 「あ、あんたたちじゃないってなら誰だっていうの? ここには私達一族しかいないはず」 「俺達を監視してたのはお前らだな。そいつらを傷つけたのはドレイクドラゴンだ。今、仲間が狩っている」 「嘘だ! 堕ちた鬼の言葉なんか信用できるか! 私が、みんなの仇を……」 何を言っても聞こうとしないルルにゼロはため息をつき体の力を抜くと普段の姿に戻る。 「余計なお世話だと思ったが、あいつへ借り一つだな」   ゼロはショルダーへ右手を突っ込み、白いよく見た物を取り出すと、それを見た一同言葉を失う。 それは、獣の一族が持つ覚醒具で、それには鳥の顔が描かれており、装着すると壮大で優雅な純白な翼がゼロに生えた。 「あれって……獣一族の覚醒具?」 「表沙汰にするつもりはなかったが、あいつが馬鹿だから仕方ない」 軽く羽ばたくだけで瞬時に浮上し、純白な翼と覚醒具が蒼いオーラに包まれる。 その様子に一番惚けていたのは他でもないルル本人で、すっかり戦意が消失した様子でその場にへたり込んだ。 「その姿……【白き不死鳥】。不死鳥の風一族の中でも異質中の異質。   なるほど、私達と同じ眷属ってわけか」 その様子を見たゼロは地上に降り立つと覚醒具を外す。
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