第0章:はじまりは突然に

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「ったく。許可もなく御前にまかり出てごめんな、我が君。 俺は火属性銃火器科三年のマグナ=ヴァイント。ほらお前らも自己紹介しろよ」 「ぼ、僕は格闘技科二年のモノ=ステラント。雷属性だよ。十歳だけど立派な特待生なんだ! ずっと、ずっと逢いたかったよ我が君」 マグナの後ろからひょっこり顔を出し、そのように言い放つと、隣に立つ赤茶髪の女性はクスリと笑った。 「モノが優秀なのはみんなわかってるよ。あたしはカレン。カレン=ラーズバード。銃火器科二年の地属性だよ。で、こっちが……」 「槍術科二年、水属性のアイリス=ランフィートと申します」 四人は自己紹介を終えると共に、ユキハの目前で静かに跪いた。 『我が君。我ら四人、あなたを守護するために参上しました』 「え? えっと?」  突然の出来事に狼狽しているユキハを見たゼロは、絹に触れる如く優しく頭を撫でる。 「あいつらはずっとユキハに会える日を待っていた。俺はゼロ=ストラトス。刀剣科三年の風属性。あいつらの友人ってとこだ。お前等二人もあいつらに自己紹介してやれ」 ユキハの緊張を解くには少し時間が要すると判断したトウヤは、先に軽く頭を下げた。 「その制服、みんな各学年の特待生? 俺はトウヤ。トウヤ=クラウド。そこの先輩と同じ、雷属性の格闘技科だよ。ほら、ユキハ大丈夫か?」 トウヤのサポートに頷くと、ゼロの後ろから少しずつ言葉を紡ぎ始める。 「……えっと、ユキハ=トーシスです。まだ学科とか決まってなくて、入学してから決めるって聞いてます。その……我が君って、先輩たちの主ってことですよね? 絶対人を間違えてますよ」 そのように話すユキハの言葉を聞いた四人は、心惹かれて聞き入っており、そしてそんな四人にゼロは再び深いため息をつくとユキハの頭に手を乗せる。 「今まで辛かっただろ。ユキハ、お前は魔力を持っていなくて、重度のトラブル生成体質だな?  このテントがそのひとつだ」
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