第1章:新入生クエストは波乱万丈⁉

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「俺は風の守護者として生まれ、同時に冥王アモンの生まれ変わりとして覚醒した。あの日、俺は守護者の名前を返上し、鬼として生きることを決めたんだ。 ……覚醒具は実家に納めていたはずなんだが、なんせうちのチームには手癖が悪い奴がいてな」 「「あぁ……」」 その言葉に納得する守護者二人に、疑問が浮かんでやまない二人に分かれるも、傷を治したルルは気にせず話を続ける。 「そんな事情はどうでもいいよ。眷属のあんたがそういうなら私らは君達に手を出すわけにはいかないし、そもそもその話自体嘘じゃないってわかったしね」 「どゆこと?」   トウヤが首を傾げていると、ルルは年相応の愛らしい笑顔を向ける。 「白き不死鳥と私達フェンリルは、遠い昔風の女神ニンニル様から力を授かったの。謂わば兄弟分ってとこ。 それに仲間から、森の深部で龍と水鳥がドレイクと戦ってるって連絡がきた。あなた達のお仲間だよね? それにそこの犬ももう限界だろうし……なかなか楽しかったよ」   そう告げるとルルは手を振り、フェルを連れてふわりと宙に浮いた。 「あなた達どこにいくの?」 「ドレイクの討伐。龍の子も頑張ってるけど、どうやら数が多いみたいだし加勢してあげる。私達なら大丈夫だよ。魔獣なんてちょちょいのちょいなんだから! よかったらそこで休んでなよ。じゃあね」  そう話し、二体のフェンリルは姿を消す。 そこで緊張の糸が切れたのか、モノは力が抜こうとするが、モノから放出された力は消失せず逆に暴走し、四方八方に雷撃を飛ばしはじめた。 「モノ君!」 「モノ先輩⁉」 「だまれぇぇぇ!」 二人の声が届いていないのか、四足の姿勢で蒼い眼光をユキハに向け、一気に飛びかかりその雷牙をユキハに向けようとした瞬間、ゼロはユキハを抱きしめ、その身を呈してモノの凶行を止めた。
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