第0章:はじまりは突然に

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図星をつかれ更に悲しみが増すユキハに、マグナは言葉を重ねた。 「そう!その二つの体質が我が君の証拠なんだよ。んで、その人を守るのが獣の守護者である俺たちの役目なの。二人とも獣騎士って聞いたことないか?」 【獣騎士】という単語がユキハの頭にある、施設で幼い頃から読み漁った本の検索にかけられる。すると一冊の本の内容がユキハの脳内に再現された。 「【獣騎士】……その昔、この世界に魔法という恩恵を人間に授けた、獣の力を持つ騎士。【世界を壊した救世主】に仕えている。そして今も尚、その生まれ変わりが獣の守護者という名の元で救世主と行動を共にする……」 「おお!よく知ってるじゃん‼ こいつは嬉しいねぇ」 「ユキハには絶対記憶があるからな!」 かつて目にした本の記憶を引き出すユキハに対して自慢げになるトウヤに、モノは拗ねた様子で口を尖らせた。 「凄いのはお前じゃなくて我が君じゃん」 少しずつ冷静に考えてみると、今まで自分が置かれてきた環境、運命的に出会ったこの四人に対し他人感を覚えず、そして何より目の前で跪くという行為に対して違和感を感じないという現実に色々と思い当たることもありユキハは静かに考えこむ。 「でも、我が君っていうのはやめていただけると……恥ずかしいし」 「我が君の望みってなら仕方ない。んじゃ、ユキハってことでよろしくな!」 そんな話をしていると、先程までの騒動もあり、徐々に人だかりができ始め、騒ぎになりたくないのか、それを避けるように五人はその場から去っていく。 「詳しくは入学式の後で……な♪」 そんなマグナの意味深な言葉を残して。
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