第0章:はじまりは突然に

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「そう、我が君は死にました。時代の荒波にもまれ、我々獣騎士の目の前で。その日から初代獣騎士達は新たな任に就いたのです。より強い血を残し、より強靭な能力を後に生まれる我が君のために。そして生み出された今代の正式な獣の守護者が我ら四人で、我らにとってユキハ様がこの世界で一番尊い存在なのです。そしてこれも併せてお話しなくてはいけませんね」 チラリとカレンに視線を送ると、カレンは頷き返す。 「ユキハ、あなたは死ぬよ。初代の我が君と同じ十八になる誕生日の夜に」 今まで語られた話に思考停止していたユキハだったが、カレンが告げた唐突な余命宣宣告に血の気が引いていくのを自覚する。 そんなユキハの様子を察したトウヤは慌てて口を開いた。 「そ、そんなこといきなり言ってユキハの気持ちも考えろよ!それにこの話本当にユキハなのか?」 「いいの、トウヤ。それに――」 この四人がこのように自分の目の前に現れ、目の前で跪くこと。 そして彼女が覚醒具をつけ華麗に空を舞い、当然のようにその手を取ること。 それらの感覚に言葉を続けることができず、先程手を取った右手を見つめた。 「あ、血が反応した?やっぱりユキハが我が君だ!僕の唯一の……いてっ! もうゼロ兄もマグナ兄も僕の頭叩きすぎだよ!僕の頭は太鼓じゃないやい」 満面の笑みを浮かべるモノの頭に拳を落とすと、マグナは表情を固めているユキハの両頬をつかみ屈託のない笑みを浮かべた。
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