48.アガリと滝をみたの

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48.アガリと滝をみたの

「出かけましょうか」  アガリは約束していたお出かけを口にする。シエルのお家から帰って来て、何日も経っていた。お月様が丸くなって半分になるくらい。 「二人で行くの?」 「はい」  行き先は秘密だった。前の日にお洋服を準備するけど、ご飯は持って行かない。近くなのかな? お洋服を用意するから、お泊まりだと思う。  わくわくしながら、すぽんと被る服を来た。今日は黄色い服だよ。袖や襟に白い飾りが付いているの。腰を緑の太い紐で縛って、リボンにしてもらった。荷物を、アガリは空中へ消してしまう。ぽんと投げたら消えた。 「僕のお洋服は?」 「ここです」  空中から出てくる。でも手を離すと消えちゃう。どこに落ちてるんだろう。何度見てもわからないけど、時間がないから説明は後だって。  ディーはドラゴン姿で飛ぶけど、アガリは違った。背中の羽を広げて、そのまま飛ぶ。だから僕は抱っこで移動となった。ふわっと浮くのは同じで、ディーほど高くない。木がいっぱいの森の間に、川が流れていた。木がないから、上から見るとすぐわかる。  アガリの抱っこで首に手を回して、川の上を飛んだ。森の中の動物も見えるくらい、低いんだよ。でも木にぶつからない。景色を見ながら飛んで、途中で止まった。  降りた場所は、川が縦に流れている。アガリは滝と呼んだ。川の途中で高さが変わると、こうやって水が落ちる。ちゃんと覚えたよ。滝から飛んでくる小さな水は、ひんやりして気持ちよかった。  川でお魚を捕まえて食べる。アガリはすぐに火をつけて、お魚を焼いてくれた。まだ移動するから、ご飯は少なめなの。気持ち悪くならないように、と言われた。でも結構お腹いっぱいかも。  お日様が明るいうちに、また空へ。抱っこするアガリの腕で、僕はきょろきょろと周囲を見まわした。知らない動物がいる。ツノが生えたのや耳の長いの、あと顔の周りに毛がふさふさのも。  見ている間に、たくさん移動したみたい。少し寒くなってきた。お日様も暗くなって、もうすぐ落ちる時間だ。このまま飛ぶのかな。ディーは夜も飛んだし、と思っていたら着地する。森の中なので、いきなり暗くなった感じだ。 「暗いね」 「明るくしましょうね」  ぱちんと指を鳴らすアガリは、指の上が燃えていた。 「熱くないの?」 「ええ、大丈夫です」  明るくなったけど、森の奥は真っ暗。ここにお泊まりするのかな。一人じゃなくても怖い。アガリは僕を下ろして、手を繋いだ。 「少しだけ歩いてください」 「うん」  森から「ほぉ、ほぉ」と変な声が聞こえた。びっくりして肩が揺れる。隣のアガリを見上げ、僕を守ってねとお願いした。もちろんですと笑うから、信じるよ。  川の近くは草が少なくて、石がごろごろしていた。そこを歩いて、また滝に出会う。今度は見上げるほど高さがあった。ごぉ……と大きな音がする水を避けて、後ろへ入っていく。水が飛んでくる道を歩いて、穴に入った。 「さあ、着きましたよ」  ここがアガリの来たかった場所? まだ暗い穴の奥を覗いた。何か光った……ぎゅっとアガリの手を握る。誰かいるの?
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