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22.僕のお家のお話をした
ドラゴンは大きいし、魔法もいっぱい使える。倒れた木を運んで片付け、一緒にお家に飛んできた葉っぱやゴミも捨ててくれた。たくさん働くドラゴンは、茶色や緑、青いのもいる。
「いっぱい、色」
「得意な魔法で色が違うんだ。だから親子や兄弟でも色の違うドラゴンがいるぞ」
ディーとアガリも兄弟だけど、得意な魔法が違う。だから鱗の色が違うんだって。説明を受ける僕は、小さくて踏まれると危ないからと部屋に入れられた。皆も小さいのが足元にいると、気になるみたい。
お土産をシエルが喜んでくれたことや、お嫁さんが赤ちゃんを産んだら会いに行く約束をしたこと。両手を振り回してアガリにお話しした。だって、僕とディーが出かけている間、お留守番してくれたんだもん。こんな大きな木だったんだよ、と話す僕にアガリは何度も頷いた。
ちゃんと伝わったかな。途中で見た湖が綺麗だった話もしたら、今度三人で遊びに行こうと言われた。いいの? ディーに尋ねたら、もちろんだと頷く。湖は近いから、朝に出かけても夕方に帰れる。お泊まりなしで遊べるね。
ディーは僕の親指くらいの厚さの紙束を掴んで、名前を書いたり横に避けたりする。お手伝いがしたくて、椅子の端によじ登った。落ちそうになって、ディーが慌てて捕まえる。
「びっくりした」
「俺も驚いた」
二人で顔を見合わせて笑う。その間にアガリはお茶の支度をしていた。お茶はお外で作業するドラゴンにも運ばれる。そっちは別の人が淹れたのかな。竜の体も口も大きいから、カップも大きくしないと!
「ん? 人の形になって飲むから、普通のカップだ」
「そうなの?」
ドラゴンのままだと、僕のお家のお風呂くらい必要かと思った。ここから、僕のお家の話を二人にした。知りたいって言われると、なんだか嬉しい。お茶をふぅふぅして冷まし、そっと口をつけた。甘くて美味しい。
僕のお家は洞穴の中にある。でも奥に入ると、天井から光が入ってるの。雨が降っても入ってこないのに、光はいいみたい。だから明るいんだ。壁はすべてツルツルする石になっていて、床も平らでツルツルだった。
お部屋は三つ。あとはおトイレやお風呂の場所がある。ベッドがある寝室とご飯を食べたり休むお部屋、あとはお客さん用だった。お客さん用は、時々くる人達が使う。一番手前にあった。
次にご飯のお部屋で、ここは寝転べるように絨毯が敷いてあるの。このお部屋から靴を脱ぐんだよ。寝室はさらに奥で、柔らかい毛皮がたっぷり並んで、ベッドも柔らかかった。一番奥におトイレとお風呂があるの。お洋服の部屋はなくて、代わりにお母さんが空から取り出していた。
「空間魔法か」
「しゅーのーって名前だよ」
アガリが探しに行った時、あまりお洋服がなかったと言ってた。たぶん、お母さんが出し忘れて出かけたの。持って行っちゃったんだと思う。毛布はベッドの上にあるから、すぐ見つかるよね。
お菓子を食べながら話して、いっぱい手足を動かして説明する。アガリが嬉しそうに聞いてくれて、僕も嬉しかった。
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