47.新しいお家が増える

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47.新しいお家が増える

 朝起きたら、シエルが大騒ぎしていた。新しい枝が生えたんだって。昨日までなかったと言われ、窓から探す。すぐに見つかった。  シエルのお家の隣に、新しい枝がある。生えたばかりで色が薄くて、柔らかそう。ここに僕のお家を建てると言われた。でも、僕はお家があるよ? お父さんとお母さんが寝てるお家と、ディーのお家。 「ここにも家を増やそう」  シエルの仲間も集まって、お家を建てる相談を始めた。僕達が遊びにきたら泊まれるお家?他の人が泊まりにきても使えると思ったら、僕専用みたい。森人族の掟がどうとか、大樹さんの決め事とか。  難しい話に首を傾げていたら、笑ったシエルがくしゃりと髪を乱した。 「心配しなくていい。ルンはこの大樹に気に入られた。だから家を建てる場所を賜ったんだ」  昨日の白と赤のお花も「たまわった」の。今度も枝を「たまわった」から、お家を建てる。うーん、よくわからないや。でも嬉しいからお任せにした。だって、遊びに来るお家が増えるんだもん。  今日はディーのお仕事があるから、時間がない。また今度ねと手を振って、ディーの背中に乗った。椅子ごと魔法で乗せてもらい、舞い上がるドラゴンの背で手を振る。  来た時と違って、明るいから風景がよく見える。遠くまで緑が広がって、振り返ると大きな木の上が揺れていた。バイバイをする手みたい。目一杯手を振って、またねと叫んだ。  ぐんぐん高くなって、下に白い雲が現れる。雲に僕達の影が写っていた。すると別の影が増える。 「ディー、誰かいる」 「ん? ああ、翼竜だな」  翼竜は、人になれないドラゴンのこと。前にお父さんに聞いたから知っている。話せないし、動物みたいな生き物なの。翼を広げても、ディーより小さい翼竜が、片手くらいいた。  一匹が僕に近づいたけど、ディーが唸ると離れていく。挨拶くらい怒らなくてもいいのに。そう思ったけど、擽ったい気持ちになった。僕を大事にしてくれているんだと思う。  降りるぞと言われ、ぐっと紐を掴んだ。斜めに下へ向かうディーは、翼をぺたんと折りたたむ。速さがすごかった。白い雲を突き抜けて、小さなお家が大きくなる。ばさっと羽が広がると、急に遅くなって着地した。 「ありがとう、ディー」  お礼を言ってから滑り降りる。待っていたアガリが受け止めてくれて、お礼のチューをした。駆け寄ったフィルが手を伸ばすから、僕も真似をする。アガリの腕から、今度はフィルの胸に移動だ。 「ただいま」 「おかえりなさい、楽しかった?」 「うん」  白と赤のお花の話をしながら、お家に入る。入り口のところで、バラムにも挨拶をした。荷物を下ろしたディーは、アガリに仕事の話を聞いているみたい。すぐに来ないから、フィルとお部屋まで行く。  僕が遊んだりするお部屋に着くと、すぐに侍女の人がお茶を持ってきてくれた。甘くて美味しいお茶は、ひんやりしている。 「ありがと」 「どういたしまして」  侍女の人は笑顔で、僕もにっこりと笑った。美味しいお茶を飲みながら、ご飯の時間までバラムとフィルにいっぱいお話をした。
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