64.遊ぶのも大事みたい

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64.遊ぶのも大事みたい

 バラムと訓練して、お庭も走った。それから棒を振って、汗をいっぱいかく。果物の匂いがするお水をたっぷり飲んで、お昼寝もした。  強くカッコいいドラゴンになるために、必要なんだよ。訓練の後で、お部屋に戻った僕は新しい玩具に気づいた。アガリとお出かけしてから、このお部屋で遊んでいなかったけど……増えている。 「これ!」 「気に入った? 私が選んだのよ」  優しく笑うフィルは、僕に玩具の剣をくれた。いつも練習で使う棒に似ている。前に僕を捕まえて叩いた人の銀の棒も、こんな形をしていた。剣と呼ぶ武器なんだね。  ほんのり赤い木で出来ていて、握って構えると強くなった気がする。少し振り回して、壁際に置いた。 「気に入らなかった?」 「違うの。これは訓練で使うんだ。お部屋で振ると、他の玩具にぶつかっちゃう」  用意された玩具の前に座る。これは三角や丸、四角がいっぱい。色も綺麗だった。たくさん並べる僕の向かいで、フィルが「お城よ」と積んでいる。真似して作った。 「僕達のお家」 「あら素敵ね。私のお部屋もあるかしら」 「うんとね、この辺」  指で四角い部分を指差す。数えてみたら、お部屋が足りなかった。青がフィル、黄色がアガリ、赤はディー。バラムを緑にして、僕はオレンジだよ。付け足しながら数えて、お父さんとお母さんのお部屋も足した。白とピンクね。  屋根を乗せて、それから隣に黒い細長いのを立てた。 「これは?」 「大樹さん」  葉っぱの緑は難しいけど、三角の緑を載せた。亀さんや猫さんも作りたいけど……足りないかな。そんな話をしながら、作ったお家を眺める。大きくて立派で、皆が一緒に住めるお家。  吸血鬼のおじさんもいるから、もっと大きなお家にしないと。シエルの奥さんが赤ちゃん産んだから、それも作ってあげたいな。夢中になって積み木で遊び、気づいたらお外が夕焼けだった。赤い空に慌てる。 「僕、訓練してない」 「今日はいいのよ。その分、明日頑張りましょうね」  遊ぶのも僕のお仕事? フィルの言葉だから、嘘じゃないと思う。カッコいい男は、遊び心が必要なの。そう笑うから、遊ぶ時間もいるみたい。  朝起きて身だしなみとご飯、訓練、お昼のご飯、お昼寝もして、遊んで……お風呂とご飯。すごく忙しいね。笑う僕に、フィルも「立派だわ」と褒めてくれる。 「明日は果物を採りに行きたいの。護衛をお願いできるかしら? 小さな騎士様」  護衛はバラムのお仕事で、騎士は強い人。僕でいいの? 嬉しくなって、フィルに飛びついた。 「ちょうどいいわ。ディアボロスが仕事を終える前に、お風呂入りましょうね」 「うん」  明日は騎士様で護衛する。頭がいっぱいで、フィルと手を繋いでお風呂へ向かった。服を脱いで、体を洗ってからお湯に入る。お湯の中に見えるフィルのお胸は、すごく大きかった。  抱っこされてお胸に触れると、お母さんを思い出す。ちょっと甘えちゃったけど、明日は僕が護衛の騎士になるの。頑張るから、もう少し抱っこしててほしいな。
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