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小娘が猫どもを風呂に連れて行って、2時間くらい経っただろうか。長すぎるとは思ったが、捨て猫の汚さならそういう長さだろう。
──タタタタッ!
小さな足音がする。
オレサマは気にせずさっきの資料を読んでいた。
──シューッ!
……と、ここでオレサマは自分の過ちに気付いた。
今日は一度外に出た。研究に使う材料を集めに行っていたからだ。なので白衣姿で行くわけにはいかず、違う服にしたのだ。
いつもはモサモサなシルエットだが、今日はポニーテールにして、地味な服にしている。
それが、間違いだった。
ああ、いや、他人から見た時の服装なら、何の問題もない。
問題なのは…………。
「ああっ!!!ブラック!!それだけはダメ!!!」
──ドタドタドタッ!!!
……また小娘が走り回っている……。はあ……。
そう思い、彼女の方を見た。
「なんだ、騒々し……………………い゛ッ!?」
白衣が。芋虫のように動いている。
そして小娘の両手には、泡が大量に付いている。
あと小娘の服はかなりダボダボなので、袖がでろんとなり、濡れている。
一言で言うと、『カオス』だ。
「あ……はは……ハロー……」
小娘は苦笑いをして白衣の方へとジリジリ向かう。
たまたま今日は白衣を着ておらず、床に置きっぱなしにしていたのがダメだった。今日は動物がいるんだ、もっと早く気付くべきだった。
──これでは、格好のおもちゃだ!!
「…………………………はぁ……」
オレサマは何かを言う気力を無くし、頭を抱えて資料へと目を落とした。
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