猫を拾われた!

3/8

4人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
 小娘が猫どもを風呂に連れて行って、2時間くらい経っただろうか。長すぎるとは思ったが、捨て猫の汚さならそういう長さだろう。  ──タタタタッ!  小さな足音がする。  オレサマは気にせずさっきの資料を読んでいた。  ──シューッ!  ……と、ここでオレサマは自分の過ちに気付いた。  今日は一度外に出た。研究に使う材料を集めに行っていたからだ。なので白衣姿で行くわけにはいかず、違う服にしたのだ。  いつもはモサモサなシルエットだが、今日はポニーテールにして、地味な服にしている。  それが、間違いだった。  ああ、いや、他人から見た時の服装なら、何の問題もない。  問題なのは…………。 「ああっ!!!ブラック!!それだけはダメ!!!」  ──ドタドタドタッ!!!  ……また小娘が走り回っている……。はあ……。  そう思い、彼女の方を見た。 「なんだ、騒々し……………………い゛ッ!?」  白衣が。芋虫のように動いている。  そして小娘の両手には、泡が大量に付いている。  あと小娘の服はかなりダボダボなので、袖がでろんとなり、濡れている。  一言で言うと、『カオス』だ。 「あ……はは……ハロー……」  小娘は苦笑いをして白衣の方へとジリジリ向かう。  たまたま今日は白衣を着ておらず、床に置きっぱなしにしていたのがダメだった。今日は動物がいるんだ、もっと早く気付くべきだった。  ──これでは、格好のおもちゃだ!! 「…………………………はぁ……」  オレサマは何かを言う気力を無くし、頭を抱えて資料へと目を落とした。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加