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「にゃお〜ん♡ごろごろ……」
まだ飼うとは決まっていないのに『ブラック』と名付けられた黒猫は、オレサマの白衣が気に入ったのか、ずっとゴロゴロ転がっている。この光景を見て、どこかの誰かさんを思い出すが……いいや、やめておこう。あいつが戻ってくるはずがないし。
「にゃうん、にゃあぅ」
それにしても嬉しそうに転がっている。
黒いベースに、白い模様。
見れば見るほど、あいつに……。
「……ずっとブラックのこと見てるわね」
「!?」
気が付くと、さっき泡だらけだったこいつを白衣から引き剥がした時に見た時間より、1時間も経っていた。
む、夢中になってたわけじゃないからな!
「本当は猫好きなんじゃないの?」
「はあ!?誰が!猫なんて、暴れてその辺を散らかすだけじゃねぇか!それにこいつら吐くぞ!引っかくぞ!あと噛むぞ!」
「無駄によく知ってるわね……」
そりゃあ研究者だからな、ドクターと呼ばれていただけある。
……と、言おうとした。
「………………ちょっと待て」
部屋を見回す。
ああ、やっぱりだ。
──金色の毛のやつがいない!!
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