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「金色のは?」
「……あれ?おーい!『ゴールド』ちゃーん!」
なんつー名前だ。
「ゴールドちゃんってばー!」
小娘はいろんなところを探し回る。
まずは資料だらけの机の下……は、いない。いさせてたまるか。
おい、頭ぶつけるなよ!衝撃で散らばったらどうする!あーあー、危なっかしくて見てられない……。
「ゴールドちゃーん?」
次はソファーの下や隙間。そこもいさせてたまるか。毛だらけになるじゃねぇか。革だからといって、さすがに動物は嫌だぞ……。
「ご、お、る、ど、ちゃん!」
オレサマの白衣がたくさん片付けてあるクローゼットを開く。ここもいさせてたまるか。それに一番嫌なんだが?
おい、猫が自力でクローゼットの扉を開くことができると思うか?なぁ、遊び半分でやってるんじゃないだろうな?
「いない……」
「そうか……」
しゅん、とする小娘。
いつもは元気の塊みたいなやつだが、まさかこんな時にそんな顔を見せるなんて。
人生の大きなターニングポイントのあの事件くらいしか見せちゃいけないような顔してるんだが?
そこまで重要なのか?
──猫なんかが?
「………………はぁ」
オレサマは軽くため息をつき、カーテンの方へと向かう。
──シャッ!
そして、勢いよく開いた!
「シャー……!」
いるではないか。
「あ!ゴールドちゃんだ!」
よくわかったわね!えらいぞ!と威勢の良い目を向けられるが、オレサマはそんなことされても別に嬉しくない。小娘は小娘だ。
つい勢いでここに住まわせることになったが、この先、何かをするというわけではない。彼女もそれをわかって、オレサマと話しているのだろう。
「でもなんかすごく威嚇してるけど」
全身の毛が逆立っている。よくある尻尾の毛までが逆立つ猫の絵のようだ。
「フン。居場所がバレて、機嫌が悪いのだろう。あとは任せる」
オレサマはその場を離れようとした。
「え!?このあと「コラ、そんなところにいるでない」とか言いながら猫に近付いて引っかかれるまでがワンセットじゃないの!?」
「お前はオレサマを何だと思ってるんだ?」
何でもそのとおりになると思ったら大間違いだ。
「ネタ要員だけど?」
………………オレサマは頭を抱えた。
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