4人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
「すぅ……すぅ……」
体力が尽きたのか、ソファーで小娘が眠っている。
雨の中、猫が入ったダンボールを運んできて、さらに3匹の風呂、ブラックを追いかけ、ゴールド探しをした。
──まぁ、頑張った方だと思うぞ。
小娘はいろんなことを抱えていた。今も呪いで片目を封じられ続けているが、なんとか元気を取り戻そうと笑顔で振る舞っている。
はぁ、オレサマは子守をするような性格ではないというのに。
「そのままだと風邪を引くぞ」
ただでさえ雨の日なんだからな、と寒いので着ていた白衣を脱ぎ、小娘にかける。
いつもなら振り払われるだろうが、風邪を引かれては困る。そこまで鬼──いや悪魔ではない。種族的には悪魔なのだが、そういうことではない。
「……む?」
書斎デスクの方に向かうと、我が物顔のブラックが上で眠っていた。
資料は蹴散らされ、ペンは倒れている。幸い、インクは零れていないようだ。
「まったく……」
オレサマは椅子に座る。そして机に伏した。
「………………」
ブラックの顔が目の前にある。オレサマは背中を撫でた。
ふわふわで、ツヤツヤしている。さすが研究の成果を活用して作ったボディーソープだ。
「………………ぐす」
瞼が重くなる。
今日は大変だった。
少しくらい、眠っても────。
最初のコメントを投稿しよう!