えっまじっすか?

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えっまじっすか?

翌日俺はベッドから起き上がり、伸びをした。 「今日は愛香とデートかー」 二人とも学校はサボりだ。 良い子のみんなはマネするなよ? 目覚まし時計を見るとまだ7時。 おっし。俺にしては珍しく早起きできたぜ! ルンルン気分で階段を降りる。 「おっはよー!」 母さんが料理していたので声を掛けると 母さんは大きく目を見開いた。 「あ、あんた……」 俺に向けられた人差し指はふるふると震えている。 「覚醒したんだね…」 「え? あぁ今起きたとこだけど」 「あぁ、良かった、良かった」 母さんは崩れ落ちて、涙を流している。 「ちょっ、母さん、どうしたんだよ」 明らかに様子がおかしい。 すると母さんは立ち上がり 俺の目をまっすぐに見つめた。 「そうだ、あんたには言ってなかったね 私たち日向の一族はヒムカと呼ばれていて 人間から負のエネルギーを吸い取る 黒闇と呼ばれるモヤを倒すのが使命なんだよ。 寛也叔父さんがやられてしまって危ないんだ。 だから、もう頼みの綱は あんたしかいないんだよリヒト」 「は!? 何言ってんだよ母さん。 頭でも打ったのか?」 と、同時に妹の中二病黒歴史ノートが脳裏に蘇った。 「まさか、本当のことなのか?」 母さんはこくりと頷きリビングにある手鏡を 取ってきて俺に見せてきた。 いつもと変わらない俺の顔。 しかし、両耳に小さい黒い勾玉の紋様が入っていた。 「嘘だろ…」 「これがヒムカとして覚醒した証だよ。 天照の生まれ変わりのお前なら叔父さんを救える!」 マジかよ。 妹よ、兄ちゃんヒムカとして覚醒しちゃったよ。 中二病黒歴史ノートとか思ってゴメンな。 「いや、マジ無理マジ無理! 今日は愛香とデートだしっ これからも平穏に生きていくんだぁぁぁぁぁっ」 俺の叫びが日向家に響いた。 (終わり)
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