31人が本棚に入れています
本棚に追加
/44ページ
鍬とカゴを持って屋敷に戻ると、なぜかエドアルドがいた。
「やあ」
ロッサナを見つけるや否や、エドアルドは右手をあげて、声をかけてきた。
「噂のタケノコを見に来たよ」
「こんにちは、エドさん。ちょうど、タケノコを掘ってきたところです。これからあく抜きをしますから、タケノコご飯になるのはまだ先ですよ。そうですね、今日の夕飯には間に合うかと思いますが」
「そんなにかかるのかい」
エドが驚くのも無理はない。今はお昼前。きっと昼ご飯を食べにきたのだろう。
「きちんとあくを抜かないと、お腹を壊しますからね」
待ちきれない子供をあやすかのように、ロッサナは笑った。
あく抜きのために厨房を借りようかと思っていたロッサナだが、これから毎日タケノコのあく抜きをするたびにそこを借りるのも、料理人たちの迷惑になるだろう。
だから、屋敷の裏の雨が降っても濡れないような場所に、自家製のかまどまで作り上げていたのだ。
そして毎日、瓶に入れた玄米を振り振りしたり混ぜたりして精米を行い、なんとか取り出した糠を鍋にいれる。皮ごと茹でたいところだが、鍋の大きさも考えて皮を剥いてから茹でることにした。
最初のコメントを投稿しよう!