前編

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 鍬とカゴを持って屋敷に戻ると、なぜかエドアルドがいた。 「やあ」  ロッサナを見つけるや否や、エドアルドは右手をあげて、声をかけてきた。 「噂のタケノコを見に来たよ」 「こんにちは、エドさん。ちょうど、タケノコを掘ってきたところです。これからあく抜きをしますから、タケノコご飯になるのはまだ先ですよ。そうですね、今日の夕飯には間に合うかと思いますが」 「そんなにかかるのかい」  エドが驚くのも無理はない。今はお昼前。きっと昼ご飯を食べにきたのだろう。 「きちんとあくを抜かないと、お腹を壊しますからね」  待ちきれない子供をあやすかのように、ロッサナは笑った。  あく抜きのために厨房を借りようかと思っていたロッサナだが、これから毎日タケノコのあく抜きをするたびにそこを借りるのも、料理人たちの迷惑になるだろう。  だから、屋敷の裏の雨が降っても濡れないような場所に、自家製のかまどまで作り上げていたのだ。  そして毎日、瓶に入れた玄米を振り振りしたり混ぜたりして精米を行い、なんとか取り出した糠を鍋にいれる。皮ごと茹でたいところだが、鍋の大きさも考えて皮を剥いてから茹でることにした。
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