前編

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 はじめちょろちょろは弱火でお米に水を浸透させる。でも、先に浸水させておいたため、次は中ぱっぱである。中ぱっぱは強火。あとは吹きこぼれないように火を調整して、最後に追い炊きして蒸らす。赤子泣いても蓋とるなは、鍋がピーピー鳴いても蒸らすという意味だ。  そうやって黙々と作業しているロッサナの様子をエドアルドは黙って見ていた。  この人は暇なのか? とロッサナは思っていたが、わざわざタケノコに興味を持って来てくれたくらいだから、その言葉を正直に口にするのはやめた。  いざとなったらタケノコ堀り要員として利用しよう。  タケノコも冷めたようなので、包丁で適当な大きさに切る。それから浸水しておいた米をざるにあけ、余計な水気をきる。米三合であれば、だし汁は六百ミリリットル。米を鍋に入れ、だし汁をいれて、上にタケノコをちらす。そして、火にかける。 「あとは、炊きあがるのを待つだけですよ。一時間もすれば、炊きあがると思います」  さっきから黙って人の作業を見ていたエドアルドに声をかけた。 「それ、食べられるのか?」
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