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屋敷はそれなりの造りで豪奢なものだが、裏にうっそうと竹林が広がっている。
「よく来たわね、ロッサナちゃん。まぁ、色も白くて、ふかふかで可愛らしいこと」
祖母が快く迎え入れてくれた。
「これから、お世話になります。おじいさま、おばあさま」
「いいんだよ、いろいと大変だったらしいね」
祖父が温かい声をかけてくれた。
「でも、ただでお世話になるわけにはいきません。私ができることはなんでもやりますので、どうぞよろしくお願いします」
ロッサナは深々と頭を下げた。三つ編みが前に垂れ下がってきたため、顔を上げたときにそれをバサリと後ろに払った。
いくら身内でも甘えることはしない。自分で生きていくための術を身につけなければならない。
この領地の民は、主に農業で生活を営んでいるらしい。田舎だから仕方あるまい。
しかし、その農地を脅かしているのが、この竹林らしいのだ。
竹林は成長スピードが速いとともに、繁殖力も強い。放っておくと、すぐに縦にも横にも斜めにも広がっていく。
そういった竹林に悩んでいる民の話を耳にして、ロッサナはふと思い出した。
「タケノコ……」
「たけのこ?」
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