前編

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 屋敷はそれなりの造りで豪奢なものだが、裏にうっそうと竹林が広がっている。 「よく来たわね、ロッサナちゃん。まぁ、色も白くて、ふかふかで可愛らしいこと」  祖母が快く迎え入れてくれた。 「これから、お世話になります。おじいさま、おばあさま」 「いいんだよ、いろいと大変だったらしいね」  祖父が温かい声をかけてくれた。 「でも、ただでお世話になるわけにはいきません。私ができることはなんでもやりますので、どうぞよろしくお願いします」  ロッサナは深々と頭を下げた。三つ編みが前に垂れ下がってきたため、顔を上げたときにそれをバサリと後ろに払った。  いくら身内でも甘えることはしない。自分で生きていくための術を身につけなければならない。  この領地の民は、主に農業で生活を営んでいるらしい。田舎だから仕方あるまい。  しかし、その農地を脅かしているのが、この竹林らしいのだ。  竹林は成長スピードが速いとともに、繁殖力も強い。放っておくと、すぐに縦にも横にも斜めにも広がっていく。  そういった竹林に悩んでいる民の話を耳にして、ロッサナはふと思い出した。 「タケノコ……」 「たけのこ?」
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