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あれだけの竹林。これからタケノコが襲来してくるのは目に見えている。ただ、ここの民だけで消費できるかというのもいささか不安ではあった。
「王都にも売ってみたらどうだ」
そう言い出したのはエドアルドだった。
「王都の知り合いのレストランにも相談してみようか」
この地の農作物は王都にも売り出している。もちろん庶民の手にわたることもあれば、そういったレストラン、さらに貴族、王族の食材にもなっている。
「たくさんとれるようなら、いいんじゃないかな」
誰かが賛同すると、次々と賛同する者が現れる。
タケノコは間違いなくたくさんとれる。ロッサナはそう思っていた。
王都までは馬で一日半。鮮度的には問題ないだろう。
「まずは、これから生えてくるタケノコの量を見極める必要があります。ですが、ぜひ、王都のみなさんに食べていただきましょう」
ロッサナが言う。
これでタケノコの美味さが広まるのは間違いなし。しかも季節もので食べられる時期は一年の中でも数か月と短い。話題性も抜群。
「では、ロッサナ。善は急げだ。タケノコを持って、俺と王都へ行って欲しい」
エドアルドの言葉にロッサナは首を横に振る。
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