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「ええ、ですがこの時期、畑仕事は忙しいですから、他の人に頼むわけにはいきません。それにこの竹林の管理を任されているのは私ですし、他にやることもありませんから」
額の汗を右手の袖でぬぐいながら、ロッサナが答えた。
「そうだな」
エドアルドは呟いた。
暑い日は、竹林の中で過ごすと涼しくて気持ちいいことにロッサナは気づいた。風でさわさわと竹の葉っぱ同士がこすれあって、心地よい音を生み出す。そして落とす光も変化する。少し竹を伐採して整備したおかげでもある。
シートを敷いて、その上に座って本を読んだり、ごろごろしたりすると気持ちが良い。そんな気持ちが良いところにやってくるのは、エドアルドしかいない。
今日も「やあ」と言って、右手を上げてやって来た。
「何か、御用ですか?」
「屋敷のほうに行ったら、ここだと聞いて。隣、いいか」
ロッサナが答えるよりも先に、勝手に隣に座る。
「学校に戻りたいか」
いきなりエドアルドが尋ねてきた。
その問いにロッサナはゆっくりと彼の顔を見た。
「なぜ、そんなことを?」
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