後編

7/18

32人が本棚に入れています
本棚に追加
/44ページ
 いつもの定期的な集まりで、今年のタケノコの売り上げを報告したところ、昨年の倍になったことがわかった。それによって今年の納税額を下げ、さらに今年収穫される米を備蓄用として納めてもらうことにした。 「ロッサナちゃん、かわったわね」  バーバラが言う。 「そうですか?」 「そうよ。ここに来たときは、白くて丸くてふわっとしていたけれど、今では健康的でスラっとして、なかなかの美人さんよ」  つまりここに来たときは美人ではなかったということか。まあ、丸々としていたという点は否定できない。あんな屋敷での暮らしでは、丸々するなというほうが難しい。どこの令嬢も似たようなものである。  とにかくタケノコを思い出してから、よいこと尽くし。生活も充実している。  あのまま王都にいて、侯爵家の令嬢として学校に通っていたら、こんな生活はできなかっただろう。  ある意味、あの婚約破棄には感謝しかない。  夕飯を終え、部屋で竹林の地図をまとめていたところ、「ロッサナ、少しお話があるの」と祖母に呼ばれた。この時間に祖母から呼ばれるのは珍しい。
/44ページ

最初のコメントを投稿しよう!

32人が本棚に入れています
本棚に追加