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王弟殿下がロレーヌ公爵であることをロッサナだって知っている。多分、前国王の第二妃の息子だったような気がする。年は確か、ロッサナよりも十近く上だったような。なぜ、そのような人物が?
「何かの間違いではありませんか? 私はあの王太子から婚約破棄をされ、挙句、侯爵家から捨てられた人間ですよ?」
「それが間違いじゃないのよ」
相手が王弟殿下であるロレーヌ公爵であることは間違いないらしい。だが、なぜそのような人物がロッサナに結婚を申し込むのかがわからない。
まさか、あまりにもロレーヌ公爵の嫁のなり手がなくてあの王太子の元婚約者でも、という話があがったのか?
いや、それでもロレーヌ公爵だ。むしろ女性が寄ってくるだろう。
「大変ありがたいお話ですが、できればお断りを」
ロッサナは、そう言うのがせいいっぱい。
「断るのか?」
驚き、祖父は問う。
ロッサナは大きく頷く。
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