後編

11/18

32人が本棚に入れています
本棚に追加
/44ページ
☆☆☆  ロッサナは今日も竹林の整備に励んでいる。一人でやっているから、毎日、少しずつやっている。  最初は畑に侵入しそうな竹から伐採を始めていたが、今は、タケノコが生息しやすいようにと、伐採する余裕が出てきた。 「やあ」  そう言って現れたのはエドアルドである。 「相変わらず、元気そうだね」  ロッサナは振り上げていた鉈をおろした。傍から見たら、エドアルドに鉈で襲い掛かっているように見えなくもない。 「お久しぶりです、エドさん。ご実家に帰られたと聞いたのですが」 「ああ、まあ、そうだな。実家から呼び戻されたからな」 「それで、今日はどのようなご用件ですか?」  ロッサナもいつもの口調で尋ねた。 「君は、俺がここに来ると必ずそう言うな」 「ええ、私もこう見えて忙しいのです。この竹林を整備しなくてはなりませんから」 「うん、それはわかってる」 「でしたら、ご用件をどうぞ」 「まあ、用件っていうほどのものでもないのだが。君、結婚の申し込みを断ったって本当かい?」  そのエドアルドの問いに、ロッサナは驚く。 「もうご存知なのですね。噂になってますか? ロレーヌ公爵とのこと」
/44ページ

最初のコメントを投稿しよう!

32人が本棚に入れています
本棚に追加