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ロッサナは今日も竹林の整備に励んでいる。一人でやっているから、毎日、少しずつやっている。
最初は畑に侵入しそうな竹から伐採を始めていたが、今は、タケノコが生息しやすいようにと、伐採する余裕が出てきた。
「やあ」
そう言って現れたのはエドアルドである。
「相変わらず、元気そうだね」
ロッサナは振り上げていた鉈をおろした。傍から見たら、エドアルドに鉈で襲い掛かっているように見えなくもない。
「お久しぶりです、エドさん。ご実家に帰られたと聞いたのですが」
「ああ、まあ、そうだな。実家から呼び戻されたからな」
「それで、今日はどのようなご用件ですか?」
ロッサナもいつもの口調で尋ねた。
「君は、俺がここに来ると必ずそう言うな」
「ええ、私もこう見えて忙しいのです。この竹林を整備しなくてはなりませんから」
「うん、それはわかってる」
「でしたら、ご用件をどうぞ」
「まあ、用件っていうほどのものでもないのだが。君、結婚の申し込みを断ったって本当かい?」
そのエドアルドの問いに、ロッサナは驚く。
「もうご存知なのですね。噂になってますか? ロレーヌ公爵とのこと」
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