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ロッサナはそう思うようにしている。幼い時に王太子と婚約が決まったのも縁、婚約破棄されてしまったのも縁、そしてここにこうやって来ることができたのも縁、何しろタケノコを思い出すことができたのも縁。
「ロッサナ……君は強いな」
エドアルドはそう呟き、ところで、と話題を切り替える。
「これだけの竹林を、どうやって管理するつもりだ?」
「まずは、これからの時期はタケノコを掘ります。その後は、不要なところは伐採しようと思っています」
「君一人でできるのか?」
「やってみないとわかりません。ダメなときは、皆さんに協力をお願いするかもしれません」
「竹林に悩まされているのは、皆、同じだからな。それの解決策があるのなら、喜んで協力しよう」
エドアルドがやわらかな笑みを浮かべた。
ありがとうございます、とロッサナは頭を下げた。
「それから先ほど言っていた『たけのこ』とはなんだ?」
やはり、こちらの世界ではタケノコは知られていないらしい。
「竹の子供のタケノコです。というのは冗談ですが、これからの時期、竹が新しい芽を地上に出します。それをタケノコと呼んでいます。コリコリした食感がクセになります」
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