前編

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「食べられるのか?」 「はい。これからニョキニョキ生えてきますから、一生懸命掘りますね。そしたら調理法は皆さんに教えますから、一生懸命食べてください」  ロッサナは楽しそうに微笑んだ。  それから毎日、晴れている日にはロッサナは竹林を歩き回った。竹林の広がり具合を確認すると共に、タケノコがニョキニョキ生えてこないかと確認するため。  それからあく抜き用に藁を燃やして灰を作っていた。祖父の許可を取って、祖父が管理する畑の外れで藁を燃やしていたら、エドアルドがやって来た。煙がもくもくしていたから気になったらしい。 「何をしているんだ?」 「タケノコのあく抜き用に、藁を燃やして、灰を作っています。本当は糠のほうがいいのですが、こちらではあまりお米を食べる習慣が無いようなので」 「米は家畜のエサになるな」 「そうですよね。でも、きっとタケノコご飯を食べたら、みんなお米が好きになると思うのです。その家畜のエサを分けてもらうことはできますか?」  家畜のエサは玄米の状態である。そこから手作業で精米して糠を取り出せば、これもタケノコのあく抜きに使える。 「わかった。誰かに聞いてみる」
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