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11話 模擬戦の結果
朝起きると机の上には料理が置かれていた。何だろうと目を細めていたらさとりが映った。
あぁ、どうやら朝ごはんを作ってくれたみたいだ。
焼き鮭とご飯、味噌汁と朝には定番の料理。
「起きたね、朝作ったから一緒に食べよ」
そう言ってさとりは俺の横に座る、隣同士で食べ辛くないのかと思ったが、ソファーも机も一般的にあるものより広いから大丈夫だった。
寝起きのせいか全然頭が回っていない、とりあえず飯を食おう。
「ご馳走さん美味しかった」
「お粗末さま」
「料理できたんだな」
「馬鹿にしていますか?」
「いや馬鹿にはしてない」
言葉に嘘偽りはない、食べてみて分かったが普通に料理上手の部類。
結構自炊とかしているタイプ。
一人暮らしをしている俺なんかより全然料理が上手い。
少しは見習わないといかんと思った。
飯を食い終わったからか目が覚めてきた、未だに体がジンジンと痛む。
幸いなことに抓られた頬は治っている。
あのくらいは練ればすぐ治るしな、肩を軽く回してみる。
極度な痛みで動かない訳ではない、少しタチの悪い筋肉痛とでも思っとればいいだろう。
「体は大丈夫? 痛むならば今日くらい休んでもいいと思うけど」
「優しいな、このくらいならば大丈夫だ」
それにあの担任が快く休みを受け付ける訳がない。
模擬戦の時、俺は気絶した、それを運んだのは先生らしいから、どこの部屋で生活をしているかはバレている。
もし強行突破で連れて来ようと思えば、いくらでもできるだろう。
大人しく行った方が身のためだ。
「行く準備早くしろ、遅かったら先に行くからな」
「流石にそれは酷くない?」
ムスッとした表情でこっちを見てくる、「冗談だ冗談」手を振って準備してこいと催促する。
やっぱさとりを揶揄うのは楽しい、たまに反撃を喰らってしまう。
俺も準備しないとな、鞄に必要な道具を入れてから制服に着替える。
着替え終わったらどうやらさとりも同じタイミングで終わったようだった。
純白の白に黒を少し基調とした制服と白色のスカート、中学の時と違い白のネクタイ。
制服は入学式終わったあと支給されたが、ネクタイに関しては昨日だった。
どうやらクラスのランクによってネクタイの色が違うみたいだ。
「それじゃあ行くか」
寮を出て学園に向かう、道中視線を物凄く感じた、尻目で見てみると、大抵が好奇な目をしてこっちを見る。
勘弁してくれないかな目立ちたくないんだよ。
クラスに到着するまで、ずっと好奇な目や観察をされていて、落ち着かない。
教室に来るだけで疲れる、席に着いた瞬間。
机でうつ伏せになって寝る。
よしやっと一安心だと思っていたが、すぐさまにチャイムが鳴りやがった。
扉のガラガラという音と共に先生が現れた。
「よしHRするぞ」
そしてHRが始まり、特に変わった様子もなく終わり授業へ入った。
いや待って、俺に対して何も言葉ないんか!
「それじゃあ昨日模擬戦した結果を伝える」
「あのちょっと質問なんですけど」
「あ、えっと桜宮さんだっけ? 何を聞きたい?」
「実力を図るために模擬戦をしたと思うんですが、一体何のためにですか?」
さとりの質問に先生は表情を何を一つ変えず、淡々と説明を始めた。
「この学園に入学した大抵がイノセクトだ、極稀に何もない人間、そうだなナチュラルとでも言っとこうか」
ナチュラル、その言葉は初めて聞いたが多分、俺みたいな奴のことを言うのだろう。
「イノセクトについては知っているか?」
「はい、そこに関しては知っています」
「ならばそこは省略するぞ、イノセクトには必ずと言っていいほどに、特異体質、潜在能力と言っていいものが存在する、それを数字にするため模擬戦をさせた」
なるほど、あの模擬戦にはそんな意味が合ったとは思いもしなかった。
「話を進めていいか?」
「はいありがとうございます」
「君らの中で一人以外は特異体質を持っている、後は二人ほど潜在能力が高い」
その一人は間違いなく俺だろ、二人は多分、シロとさとりの二人。
「数字を表にしたから一人ずつ取りに来るように」
潜在能力はどれを指すかは分からないが、特異体質はあらかた検討が付いている。
中学の時の彼奴とこないだの放火魔。
どっちも掌から炎を出していた、普通ならば説明を付けることができない。
だが、イノセクトと云う言葉で簡単に説明が付く。
本当つくづく便利な言葉だな。
「おい自称山田太郎早く来い、残りはお前だけだ」
どうやら考えている内に他は受け取ったみたいだ。思い足取りで先生の下に行き受け取る。
どうせボロクソに書かれているだろうな、席へ戻ってから表を見る。
表に書かれていた内容に驚愕する、ボロクソ以前に一言。
『アルドをSランクへと昇格へする』
は? Sランク? この紙に書かれている内容の意味が分からない。
よし他の所を取り敢えず見よう、色々な項目があり、ランク分けやグラフ表。
ほぼバランスはいいが、スピードが突出している。
正確な評価で作られていると思う、問題はここの一言。
ランクを昇格って聞いたことないんだが? まず昇格制度が存在するのか。
まだまだこの世界の仕組みをよく理解できていない。
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