16話 イノセクト

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16話 イノセクト

「お前ら集まったな」  先生の言葉に各々が頷く、今俺らは教室ではなく、体育館にいる。  いや何故に体育館? しかもちょうど先生にぶっ飛ばされた場所。  いい思い出ないなここ、資料を持ってきて、渡すだけならば教室でもいいのに。 「一人不満そうにしている奴いるが、ここで集まったのは軽く実践して貰う。その内理事長から訓練場を作って貰う予定だ。それまではここでやる」  言い終わってから資料を配り出した、俺以外は受け取り神妙な面をしていた。  イノセクトじゃないからなくて当たり前。  どしてここにおらされているんだ俺? サボろうとしていた時、先生に無理矢理連行された。 「安心しろ、大事な役目をお前には全うして貰うから」 「それって非常に面倒臭い感じすか?」 「多分面倒臭いだろうな」  ですよね、一体何をさせるつもりだ? どうせろくなことじゃない。  役目……昨日異能の話が出たし、練習台とか言わないよな? 「今日は大まかに五つのことを教える」  案外多いんだな、異能だけじゃないのか?  先生は説明を始めた。クラスメートは資料をまじまじと見る。  暇だなと思っていたらさとりに手招きをされた。  さとりに近づき小声で話し掛ける。 「どうかしたか?」 「暇そうだったし、私の資料を見て先生の話を聞けばいいよ」  それは有り難い話だ、さとりの資料を見ると、色々と書かれていた。  異能のこと、イノセクトに対して軽くの情報が載っていた。  これを全て先生がやったのであれば凄い。 「項目だけ説明していくぞ、イノセクトと異能、そして残り三つは異能に関連してくることだ」  先生は言葉を紡ぎ、説明をしてくれた。その中に俺すら知らない情報が合った。  言葉を聞き、資料を見る。イノセクトには様々な種類が存在する。  サラブレットは分類されると思ったが実際は違う。正確には遺伝子操作をされた、サラブットは分類。   「異能にも種類が存在する、資料の十ページを開いてくれ」  十ページには細かく異能のことが書かれていた。  攻撃型に汎用、瞳術そして異能王(アルタエゴ)。 「君らの資料には各々に自分と異能を振り分けられている」    一人一人に異能を振り分けているか、軽口しか叩かないけど、ちゃんと先生なんだ。  と感心をしていたら指を刺された。  え、なんかした? またぶっ飛ばれるとかは勘弁だぞ? 「アルド、お前は異名について知っているか?」 「知らないすよ、いつのまにか付いてただけすから」    そう、気づいた頃にはアルドと呼ばれていた。いつからそう呼ばれたのかも分からない。何が原因で付けられたのかも不明。  ただ第二の覇王と崇められていた記憶しかない。 「皆もよく聞け、これは少し雑学になる。オレそしてアルド、クロエには異名が付けられている」  クロエも? 目が見開いた、彼奴一体どんな異名がついてるんだ?  いやそれよりなんで異名が付くんだ?  先生は雑学と言って教えてくれた。その内容に内心最悪と思っていた。 「Aランク以上の実力者、A+以降は異名が付けられる。クロエは女王……」  あながち間違ってはいない、傲慢だし令嬢。女王って言う異名にピッタリだ。  これも初耳だ、超越者(イマジン)。最初からSランクにする気満々かよこの学園。  Fランクにしたのは何か意味がありそうだ、カモフラージュか?  もしかしたら疑っていたから最底辺にした。色々な可能性が考えられる。 「まぁこの異名を付けられているのは三人しかいないけどな」 「どういう理屈で+になるんすか?」 「簡単な話、何か一つでも超越すればいい、異能でも体術でも何でもいい」  超越か、俺はいつそんな化物になっていた? なったつもりもない。  先生は咳払いをし、話の本題へと戻っていた。  次は異能の話、資料の隅には先天と後天、発祥と合った。 「異能には先天性と後天性が存在する」  先天性は生まれつき異能が使える天才タイプ、後天はその逆できっかけを作って発祥させる。  ほとんどのイノセクトが後天。極稀に先天性がいる。  中学時代の彼奴はどっちだ? 実験と言ってたし後天か、もし先天ならばすでに燃やされていた。  今思い返してみると怖、よく無事だったな体。  きっかけって何か決まっているのか? 資料は捲られるが特に書いてなかった。 「発祥のきっかけは人それぞれだから、具体的な方法はない。自分で見つけるしかない」 「あの先生は一体どうやって発祥させましたか?」 「どんな異能を持っていますか?」  どんどんと質問をされ、先生が一歩下がった。答える前に新たな質問をされ、気圧された。  実際先生がどんな異能を持つかは気になる。  この人ならば凄い異能を持ってそうだ、だけど汎用性のあるものでも、上手く活用しそうだ。  質問した奴らの目はまるでキラキラと輝いており、先生を捲し立てる。 「お前ら落ち着け、まず何故イノセクトって前提で話してる?」 「え、先生はイノセクトじゃないの?」 「勘違いしてぽいから言うけどな、俺はナチュラルだぞ? 異能なんか持ち合わしてない」  『え!!』  この場にいる全員の声が重なった、体育館に反響し大きな音となった。  先生はうるさかったのか、耳を塞ぎ膝をついた。  まじで言っている? ナチュラルなの? あれほど強くて覇王と呼ばれているのに、俺と同じナチュラル。  到底信じられる内容ではない。  
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