13人が本棚に入れています
本棚に追加
16話 イノセクト
「お前ら集まったな」
先生の言葉に各々が頷く、今俺らは教室ではなく、体育館にいる。
いや何故に体育館? しかもちょうど先生にぶっ飛ばされた場所。
いい思い出ないなここ、資料を持ってきて、渡すだけならば教室でもいいのに。
「一人不満そうにしている奴いるが、ここで集まったのは軽く実践して貰う。その内理事長から訓練場を作って貰う予定だ。それまではここでやる」
言い終わってから資料を配り出した、俺以外は受け取り神妙な面をしていた。
イノセクトじゃないからなくて当たり前。
どしてここにおらされているんだ俺? サボろうとしていた時、先生に無理矢理連行された。
「安心しろ、大事な役目をお前には全うして貰うから」
「それって非常に面倒臭い感じすか?」
「多分面倒臭いだろうな」
ですよね、一体何をさせるつもりだ? どうせろくなことじゃない。
役目……昨日異能の話が出たし、練習台とか言わないよな?
「今日は大まかに五つのことを教える」
案外多いんだな、異能だけじゃないのか?
先生は説明を始めた。クラスメートは資料をまじまじと見る。
暇だなと思っていたらさとりに手招きをされた。
さとりに近づき小声で話し掛ける。
「どうかしたか?」
「暇そうだったし、私の資料を見て先生の話を聞けばいいよ」
それは有り難い話だ、さとりの資料を見ると、色々と書かれていた。
異能のこと、イノセクトに対して軽くの情報が載っていた。
これを全て先生がやったのであれば凄い。
「項目だけ説明していくぞ、イノセクトと異能、そして残り三つは異能に関連してくることだ」
先生は言葉を紡ぎ、説明をしてくれた。その中に俺すら知らない情報が合った。
言葉を聞き、資料を見る。イノセクトには様々な種類が存在する。
サラブレットは分類されると思ったが実際は違う。正確には遺伝子操作をされた、サラブットは分類。
「異能にも種類が存在する、資料の十ページを開いてくれ」
十ページには細かく異能のことが書かれていた。
攻撃型に汎用、瞳術そして異能王。
「君らの資料には各々に自分と異能を振り分けられている」
一人一人に異能を振り分けているか、軽口しか叩かないけど、ちゃんと先生なんだ。
と感心をしていたら指を刺された。
え、なんかした? またぶっ飛ばれるとかは勘弁だぞ?
「アルド、お前は異名について知っているか?」
「知らないすよ、いつのまにか付いてただけすから」
そう、気づいた頃にはアルドと呼ばれていた。いつからそう呼ばれたのかも分からない。何が原因で付けられたのかも不明。
ただ第二の覇王と崇められていた記憶しかない。
「皆もよく聞け、これは少し雑学になる。オレそしてアルド、クロエには異名が付けられている」
クロエも? 目が見開いた、彼奴一体どんな異名がついてるんだ?
いやそれよりなんで異名が付くんだ?
先生は雑学と言って教えてくれた。その内容に内心最悪と思っていた。
「Aランク以上の実力者、A+以降は異名が付けられる。クロエは女王……」
あながち間違ってはいない、傲慢だし令嬢。女王って言う異名にピッタリだ。
これも初耳だ、超越者。最初からSランクにする気満々かよこの学園。
Fランクにしたのは何か意味がありそうだ、カモフラージュか?
もしかしたら疑っていたから最底辺にした。色々な可能性が考えられる。
「まぁこの異名を付けられているのは三人しかいないけどな」
「どういう理屈で+になるんすか?」
「簡単な話、何か一つでも超越すればいい、異能でも体術でも何でもいい」
超越か、俺はいつそんな化物になっていた? なったつもりもない。
先生は咳払いをし、話の本題へと戻っていた。
次は異能の話、資料の隅には先天と後天、発祥と合った。
「異能には先天性と後天性が存在する」
先天性は生まれつき異能が使える天才タイプ、後天はその逆できっかけを作って発祥させる。
ほとんどのイノセクトが後天。極稀に先天性がいる。
中学時代の彼奴はどっちだ? 実験と言ってたし後天か、もし先天ならばすでに燃やされていた。
今思い返してみると怖、よく無事だったな体。
きっかけって何か決まっているのか? 資料は捲られるが特に書いてなかった。
「発祥のきっかけは人それぞれだから、具体的な方法はない。自分で見つけるしかない」
「あの先生は一体どうやって発祥させましたか?」
「どんな異能を持っていますか?」
どんどんと質問をされ、先生が一歩下がった。答える前に新たな質問をされ、気圧された。
実際先生がどんな異能を持つかは気になる。
この人ならば凄い異能を持ってそうだ、だけど汎用性のあるものでも、上手く活用しそうだ。
質問した奴らの目はまるでキラキラと輝いており、先生を捲し立てる。
「お前ら落ち着け、まず何故イノセクトって前提で話してる?」
「え、先生はイノセクトじゃないの?」
「勘違いしてぽいから言うけどな、俺はナチュラルだぞ? 異能なんか持ち合わしてない」
『え!!』
この場にいる全員の声が重なった、体育館に反響し大きな音となった。
先生はうるさかったのか、耳を塞ぎ膝をついた。
まじで言っている? ナチュラルなの? あれほど強くて覇王と呼ばれているのに、俺と同じナチュラル。
到底信じられる内容ではない。
最初のコメントを投稿しよう!