27話 さとり視点

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27話 さとり視点

「……取り敢えずこれでいいかな」  我妻君に連絡を入れたし、()()()()()()()()()()()()()。  私はもう少し頑張りますかね。 「どこへ行った!」 「探せ! 必ず見つけ出せ」  この場を一刻も早く、離れないといけないな。  今回の実習に来てよかった、良くも悪く、今()()()()()()()()()()()()()()。  ◇時は遡り    「ようこそ我が屋敷に歓迎をする」  とうとう実習が始まった、一月は思ったより早く過ぎる。  唐突に先生から知らされて身構えていた。  どうして私たち二人が選出されたのだろう、横の白髪の少女を尻目で見る。 「二人とも挨拶をしましょう」 「桜宮さとりです」 「シロです」  簡易的な挨拶をし、終わった。  実習の期間、教えて貰ってないけど、やっていける気がしない。  シロさんと超がつくほどに接点がない、まず喋ったことすらない。  私がいつも我妻君と絡んでいるのもあるが、それを通り越して近寄り難い雰囲気を醸し出している。  折角だし、今回を機にして接触を試みてみよう! 「さぁ仲に入ってくれ」  当主様が直々に私たちを案内してくれる。中へ入ると学園に匹敵するくらいの豪華さ。  いや根本的に間違っている。  普通に考えて財閥の屋敷が豪華なのは当たり前、それに匹敵する学園自体が可笑しい。  応接室に通して貰った。  机を挟んで長ソファーが置いてある、奥側のソファーにはメイドさんが立っていた。  ソファーにまで案内され、座るように促された。  素直に座ると、お茶が机に置かれる。    「君らが学園の代表と言った所か」  学園の代表、そんな大それた括りに入って大丈夫なのか?  どう答えればいいか定かじゃない、苦笑を浮かべると、釣られてシロさんもする。 「その反応を見ると説明をされてないのか?」  当主様の言葉に私たちはお互いを見て、真っすぐに視線を向ける。 「大変恐縮ですが受けていません」 「そうかならばワシが説明をしてやろう」  当主様直々から説明? 凄い貴重だし有難い。  本来学園側することなのだろうけど、バレないように息を吐く。  来たばっかであれやけど、もう既に帰りたい。 「まずは今回の実習の目的について説明をしよう。異能を発祥させる。潜在能力を解放させると言った所だ」  異能を発祥? それに潜在能力を解放? 前者に関しては分かる。  何度か授業でやって、我妻君にいなされた。  潜在能力に関しては確かに高い方ではある、最初の模擬戦の表に書いてあった。  解放をしようと思ってできるのか? 「潜在能力は異能の助長に過ぎない。今回我が家と学園側の共同計画で、生徒を強化実習のために呼んだ」 「それと私たち、何か関係あるの?」 「そこに関しては何も言えない。学園側のAIが選出したと聞いてる」  全てにおいて初耳だし、シロさんタメ口は不味い! 「後のことは後ろのメイドに聞いてくれ。すまないが先に失礼する」  それだけ言い残して当主様はどこかへと向かった。  今応接室にいるのは三人、メイドさんは一切口を開かない。  やっていける気がしない。  流石に行動に移るかと考えていたら、シロさんが立ち上がった。 「それではご案内しますね」  どこに!? 急いで立ち上がり後ろを着いてく。  いつもの省エネのシロさんとは思えないほどに、先へと進む。  メイドさんの格好を見て、腑と天宮さんが横切った。  同じメイド服……服自体の名称は一緒、だけど色、形も同じであった。  偶然? 世界は広いしあり得るか。  ……我妻君大丈夫かな、心細いのか、彼のことを考えてしまう。  今日と昨日は会えなかったな、ある日を境に接点が減った気がする。  前なんか、ボロボロの状態で寮に帰ってきた、手当はされているぽかったけど、先生との戦いの時より酷かった。  きっと私が知らない所で何かがあるんだろう。  何が合ったか聞けばいい、だけど怖くて踏み込めない。 「着きましたよ」  立ち止まったから歩を止める先には、道場が合った。  比較的、和のテイストをされた道場、所々に血が付いてる。 「ここは訓練場になります、まずは自分の異能を知りましょう」  中央まで入ると、メイドさんが長い黒色の棒をぶん回し、近寄ってくる。  自然と私たちは後ろに逃げ、メイドさんが迫ってくる。 「どうしたんですか? 行動に移さないと出るものも出ませんよ〜!」    完全に楽しんでらっしゃる、能面のような無表情なのは変わりないが、声色が明るい。  ジリジリと追い詰められ、背に壁がつく、このままではやられる。  だからと云って、前へ飛び込む勇気はない。  まるで棒術の達人のように速い、万事休す。  諦めようとした時、シロさんは軽やかに動き躱す。  凄い、まるで先生や、我妻君のようだ、私には到底できない芸当。  目を瞑り、瞬きした時、思考がクリアになった。  棒の動きがゆっくり見える、速く動くことはできなくても芯を外せばいい。  体は軽く、通り過ぎた。 「ほほーう、貴方は次のステップへ進める、君はもう少し掛かるかな」  指を指し、無表情でニコニコとし始めた、私が次のステップ。  シロさんはまだ掛かる? 反対じゃないの? 「ピンク髪の子は異能の予兆が垣間見える。貴方はまだそれがない、身体能力で動き過ぎ」  シロさん異能とかじゃなく、シンプルに身体能力で躱した!?  三日後。  
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