14人が本棚に入れています
本棚に追加
7話 クラス発表
「内装も広いよね」
「そうだな、二人でちょうどいいくらい」
広い分に文句はないが一体何を考えてやがる?
まずどんな部屋分けをされているのだ? 手帳を弄って調べてみるが全く分からない。
次の日。
寮から学園の門へと移動すると、掲示板に大きく紙が貼られていた。
人が集まっている、多分クラス発表だろうと思い、俺らも近くにまで行ってみる。
予想通り、クラスが書かれていた。
中学校の時と違い、1ー1や1ーAではなく、アルファベットのAからFでクラスが構成されている。
「これはアルファベット?」
「ランクさ、Aから高ランク何だろ、実際にFクラス見てみろ」
掲示板を見るように促す。少しだけ俺も見た。
Fクラスには当然俺の名前が書いて合った。
「私の名前も書いてある、一緒のクラスだね」
「は?」
さとりの言葉に一瞬硬直した、すぐさまにクラス表をみると、複数人の名前が書いてあり、その中にさとりの名がある。
どうしてさとりの名が入っている? 低く見積もってもDくらいの実力はある。
高くてCだろう。
あの水晶でも他の有象無象より色が付いていた。
そもそとして根本的に違う可能性がある。俺が想定していた以上に他のレベルが高い。
Aのクラスには当然のようにクロエの名がある。他、気になる名前があるか見ようとした時警鐘が鳴る。
体が今すぐ離れろと知らせてくる、気配を消し周りを見る。
すると、仁王立ちしたクロエの姿を発見した。見つかったら面倒臭いことになりそう。
「どうかしたの?」
「いや何でもない」
さてどうしたものかと考えていると、クロエがこっちに気がついたのか、歩み寄ってくる。
あ、いかん、見つかる。
「さとり悪い」
小声で謝り、反応をされる前に手を引いてクラスへ向かった。
校内へ入ると矢印でクラスの場所を案内してくれる。
矢印通りに進むと昨日使っていたクラスだった。そしてメンバーも大して変わっていない、結局はこいつらも最底辺。
昨日座っていた席がちょうどよく空いていた為、そこへ座ることにした。
後は担任が一体誰になるかだな、このままの流れで昨日の奴がなるとかは勘弁して欲しい。
会って一日くらいしか立ってないが、もう苦手意識を持っている。
「全然先生来ないね?」
「その内来るだろ、流石に初日から来ない教師なんていない」
しばらく待っていたが一向に担任の教師が現れない。一人が痺れを切らして見にいくと言って教室から出て行った。
そいつも中々に戻って来ず、無駄な時間が流れる。
暇だったから俺は一眠りつくことにした。
あれからどのくらい経ったのか知らないが、いつの間にか教師が立っていた。
その教師は昨日の奴。 うわぁこいつが担任かよ最悪と思っていた。
「担任と言いたい所ですが違います。君たちを担当する教員は諸事情で今日は来ないです」
そんなことあり得るのか? 初日から来ない担任なんて初めて聞いた。
明日来るのか――それともしばらく来ないのか分からない。
少し楽しみである、一体どんな人が担任になるのか。
「いつ来られるのか分からないので、今後の流れを軽く説明しますね」
いつ来れるのか分からないのか、そして教師は言葉を紡いで説明を始める。
「……このように進んでいきます」
説明で今後の流れが軽くとは云え分かった。だが、結局担任がいない限り物事が進まない。
担任が来るまでサボってもいいなと考えていたら目が合う。
何かを言う訳でもなくこちらを真っ直ぐ見てくる。
やはり不気味さを強く感じてしまい、大人しくすることにした。
「それじゃあ今日は自己紹介でもしましょう」
定番だなと思っていた。教師が指名し各々自己紹介が始まり、附と一人がいないことに焦点がいく。
「あれ? 一人足りませんね」
「先生を探しに行くと言って何処かに行きました」
「そうですか、協調性が全くないので彼は不要ですね」
不要という発言に空気が凍る。パチンと指が鳴る音がする。
それと同時に空席の席が消える。跡形も残らずに亡くなった。
まるでそこに最初から無かったように、綺麗に無くなっていた。
自己紹介は続き、さとりの番になった時、扉がガラガラと開く、探しに行った彼が戻って来たのと思った。
「遅いですよ? 減点ですね」
「……すいません」
相変わらず白髪の髪を靡かせながら少し離れた席へと向かう。
横を通り過ぎるといい匂いが鼻腔を通り抜ける。
本当にいい匂いすんなって、俺は変態か! 一人でツッコミをしていたらさとりは終了し、俺の番へ回ってきた。
「あ、えっと我妻ですよろしく」
何を話すか迷って、途中で面倒くさくなったから適当に終わらせる。
さとりの自己紹介も終わったし寝るか。机に伏せて寝ようとしたが。
附と後ろが気になり振り向く、白髪の少女が立っていた。
どうやら今度は彼女の番のようだ、いつもならば寝る所。
だけど、彼女のことは少し気になる。この場で唯一さとりを越えた人物。
気になるなと言われる方が難しい、客観的にこのクラストップは彼女。
「シロです。よろしくお願いします」
彼女――シロの紹介は俺より淡々としておりすぐ終わった。
「はい自己紹介も済みましたね」
◇
やっぱりあの教師は苦手だ。喋っているだけで胡散臭い。
もし詐欺師と説明をされても信じてしまう。そのくらい胡散臭いし不気味。
「まさか学園の外にこんな広い街があるとは思いもしなかった」
自己紹介が終わると一日は終了し、寮へと戻っていたが、暇だったから探索をすることにした。そして今に至る。
孤島の無人島に学園しかないと思っていたが、まさかこんな街が存在するとは。
それなりに大きく、普通の都会にある街と遜色ないくらいに繁栄している。
まるで独立都市。
最初のコメントを投稿しよう!