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光岡蓮、29歳
署内の自動販売機がある場所の椅子でうっかり眠りこけていたら、先輩に叩き起こされた。
「事件だ!」
一気に目が覚めて、先輩の後を追う。
向かう場所を聞いて、ルートを頭に組み立てる。
車の運転席側に乗り込み、先輩が助手席に乗ったのを確認するや否や、走り出した。
「通報によればな、死体がふたつだ」
雨上がりの道路は朝日に煌めいて、寝不足の目には刺激が強い。
「状況はわからんが、ひとつは両手が紐でつながっているっていうことだ」
じゃあ、もうひとつは、と思ったが、とにかく現場に行くしかない。
本部からは立ち入らせてもらえないかもしれないが、それでも行くという選択肢しかない。
「朝の渋滞が始まってますね、どうします、鳴らしますか?」
「いや、そこの抜け道をまずは行け」
指示に従いながら、急にふと永山のことが気になった。
当分休みを取れそうにない、っていうLINEを送ったのだが、未読のままだ。
それはよくあることのはずなのに、何故か胸騒ぎがする――
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