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事件
管内で殺人事件があった。
被害者は30代の女性で、人通りの少ない河原沿いで早朝発見されたらしい。
近くに住む男性が日課のジョギング中に、道端で倒れている人を見つけて、その場で通報したのだ。
事件だとすぐに判定されたのは、事故では起こり得ない奇妙な点があったからだった。
女性は、後ろ手にたすきのような長い紐で緩やかに繋がれていた。
それが何のためなのかはわからない。
死因は溺死だった。
水たまりに突っ伏して死亡しており、状況からも体内からの遺留物からも、その水たまりに何者かに押さえつけられたうえでのことだと推測された。
すぐさま捜査本部が立ち上げられたが、そのメンバーには言いしれぬ澱んだ思いを抱えている者が何名か参加していた。
何故なら、この殺人は10年以上前に起きた未解決事件と酷似していたからである。
連続殺人事件として捜査されたものの、決定的な証拠も被疑者もなく迷宮入りとなり、警察は方々から非難された。
今、またそれを嘲笑うかのように事件は起きた。
雨上がりの惨劇はまた繰り返されるのか。
警察の威信をかけた捜査が始まった。
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