悪魔王子の旦那様は今日もツンとデレている

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「お前の方がよほど……」 「なんでしょう?」 「いや、なんでもない」 カイルのブロンドの髪に空に瞬く星のような金色の瞳は自分以上に王子らしい容貌だとルーカスはいつも思っている。 言葉に出しても良いが、またここでそんなことを言えば、せっかく閉じたカイルの口をまた開かせることになりそうだと思い、ルーカスは言葉を飲み込んだ。 「そろそろそれを貸せ」 「ですね、どうぞ」 ルーカスはカイルからふんだくるようにリストを受け取ると、リストに目を通していく。そしてリストに目を通しながらもルーカスは大切な部下の体調管理に余念がない。 「……もう食事は済んだのか?」 「はい」 「ふーんそうか……最近体調はどうだ?」 「万全でございます」 「……夜は眠れているか?」 「…………」 ルーカスは返事が返ってこなくなると、リストから視線をあげた。見ればカイルの口元はわずかに緩んでいる。 「何を笑っている?」 「いえ、悪魔王子などと呼ばれているルーカス様がこんなに部下想いだなどとは誰も知らないでしょうね」 ルーカスは大きな手のひらで顔の下半分を覆い隠すとカイルから目を逸らした。 カイルは非常に優秀だ。常にルーカスのひとつもふたつも先を読んで立ち回り、戦場の任務をこなしながらも筆頭執事として日々の業務も滞りなくこなしている。一体いつ休んでいるのかと、ルーカスは出来が良すぎる部下のことをいつも心配していた。 「うるさい。お前に倒れられたら俺がやることが多くなって面倒なだけだ」 「そうですか。大変失礼いたしました」 「ったく……」 そう言いながらルーカスがリストの最後のページを捲る。 そしてルーカスはカイルによって赤い印をつけられている女性の名前に視線をとめた。
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