悪魔王子の旦那様は今日もツンとデレている

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※※ ──ダンスパーティー当日 「あぁ、お嬢様やはり危険でございます」 王宮に向かう馬車の中で煌びやかなドレスを纏ったドーナは何度となくぼやき、ため息を繰り返している。 「こんな格好……いえ、こんなこと……」 「とてもよく似合ってるわ」 メイド服に身をつつんだ私がにっこり微笑むがドーナの表情は硬い。 「お嬢様……このことザッハルト様は?」 「知らないわ、だってドーナを私の代わりにパーティーに参加させてその間に私は悪魔王子の自室を調べにいくだなんて、さすがに叱られてしまうもの」 私はパーティーの時間ギリギリになってからドーナにこの計画のことを話したのだ。事前に相談すればドーナは絶対に首を縦に振らないことを知っているから。 「あぁ……なんてこと。やっぱり今からでも屋敷に引き返しましょう。そもそもわたくしがお嬢様のフリなど恐れ多くてできません」 「ダメよ、今から引き返せば次いつ王宮に行けるかわからないもの」 「しかしお嬢様……っ」 私はドーナの肩にポンと手のひらを置いた。 「大丈夫、ドーナなら私よりも令嬢らしく見えるわ」 すぐにドーナがぶんぶんと首を振る。 「滅相も御座いませんわ……あぁお嬢様になにかあったらこのドーナ死んでもまだお詫びしきれません」 「他の御令嬢たちは王子様に気に入られようと必死でしょうし、王子様たちもまさか招待客の中に王宮探索目当ての令嬢がいるなんて思ってもみないわよ」 「きゅうっ」 私の言葉に賛同するようにラピスが私の胸の中から顔だけ出した。 「ほら、ラピスもついてるし、一生のお願いっ」 私は両手を合わせてドーナに懇願して見せる。 「はぁあ……お嬢様の一生のお願いは慣れているとはいえ……相手があの悪魔王子ですよ?! 見つかったら……」 「大丈夫よ、ラピスは危険を察知する能力に長けてるんだから、何かあったら教えてくれるわ」 「きゅうっきゅうっ」 「ほらね」 「はぁああああああ……」 私はドーナの悲鳴のようなため息を聞きながら、見えてきた王宮に決意を新たにする。 (お母様みてて……、必ず手がかりを見つけてみせるから!!)
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