悪魔王子の旦那様は今日もツンとデレている

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バルコニーには背の高い男が二人、親し気に話しているのが見える。 (あれは……悪魔王子ルーカス……っ!) 一目でわかる真っ黒の髪に戦場を彷彿とさせる屈強な体躯、そして王族しか身に着けることが許されない蔦の紋章の入った豪華な服を身に纏っている。 そして彼の隣に居るのが恐らく悪魔王子の右腕であり、筆頭執事も兼ねているカイル=オリバーだ。彼については以前、お父様から似顔絵を見せてもらったことがあった。 「間違い……いか?」 「はい。念のため……確認して……ましたので」 「そうか……=エヴァンズ……の……」 私はルーカスから出た母の名前に目を見開いた。 (どうして悪魔王子が……お母様のことを調べているの……?) 「娘は……どこまで……るんだ?」 「それは……りませんが……探して……ようです」 (娘って私のこと?) 会話はとぎれとぎれだが、はっきりとわかったのはルーカスが母マリアについて何故が調べているということだ。 「なんとか先に……手を討たないとな……」 (!!) ルーカスがぐっと拳を握りしめるのが見えた。その冷ややかな目と温度のない口調に背筋がゾッとする。 (まさか悪魔王子がお母様暗殺に関わっていたなんて……) (早くこの場を離れてお父様に) 私はゆっくりと一歩足を真後ろへと引く。 二歩三歩と下がってから私はバルコニーから背を向けた。 そして元来た道を帰ろうとしたとき、首筋に冷たい感触が走った。 (──っ!)
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