悪魔王子の旦那様は今日もツンとデレている

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「ノース騎士団長の娘と婚姻したとなれば俺にとって強力な後ろ盾になる」 (──!!) 「お前も知ってるだろう。この世は弱肉強食。より強い力を持つものがこの世を支配できる」 私はその厭らしい笑みに嫌悪感を抱きながは眉を顰めた。 「……戦いにしか興味がないと聞いていたけど、野心家なのね。まさかこの国の国王を狙っていたなんて」 「なんとでも言えば良い。ただお前にとってもいい話だろう? 俺の妻という立場を利用して、王宮に仕える多くの者や更には武力を行使して犯人探しができるんだからな」 「いくら後ろ盾が欲しいからって……自分を殺すかもしれない女を妻にだなんて馬鹿げてる……っ」 「なんとでも言え。おしゃべりは終わりだ。返事を聞かせてもらおうか」 わからないばかりでうまく頭がまわらない。なぜルーカスが母のことを調べてるのか、犯人についてどこまで知っているのか、本当に関与してるのか?  知りたいことも応えて欲しいこともたくさんあるのに目の前の悪魔王子は、まるで地獄にでも誘うかのように愉快そうに笑みを讃えている。 私はまとまらない考えの中、最大限頭をフル回転させる。 (確かに犯人を探すために第二王子であるルーカス様の妻という肩書きは助かるけれど……) (でももし、この人が関与してなかったら? 一生、悪魔王子の妻……? そんなのごめんだわ……) 「答えろ」 「……期限は一年」 「なんだと?」 「期間限定ならいいわ。一年経ったら離縁してください。貴方が生きていたらの話ですけど」 「ふっ……いいだろう」 ルーカスが大きく骨ばった手のひらを私に差し出した。そして私がそっと乗せた手のひらを乗せればルーカスがすぐに力強く握りしめた。 この時の私は知らなかった。 彼がなぜこんな提案をしたのかも。 彼がなぜ私を妻にしたのかも。 そして──なぜ彼が私を愛していたのかも。
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