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<23・遊戯。>
「え、えーっと……?」
その日。
蘭磨はきょとん、とその場で正座していた。黒いつやつやとしたテーブルがある和室。周囲にはテーブルを囲むようにずらーっとたくさんの子供達が鎮座している。全員、自分たちと同じクラスの生徒だ。もちろん轍もいるし、信花もいる。ざっとみたところ、クラスのほとんど全員がいるように見受けられる。
「塾がある者や用事がある者もおったのでな、全員誘うことはできんかった!」
信花がででん!とお誕生日席に座って言った。
「しかし、儂の呼びかけて集められるだけの人数を集めたぞ!うむ、今日ほど儂の家が大きくて良かったと思った日はない!」
「は、はあ……?」
蘭磨は困惑するばかりである。
エリオットの襲来から、なんだかんだ一週間が経過していた。一秒でも早く連携を磨いて、強くなって凛空と律子のコンビのところに突撃しなければいけない。だから今日信花の家に呼ばれた時も、最初は新しい特訓のためだと思ったのだ。
彼女の父と祖父会社であることは聞いている。お金持ちの家だ、ということは理解していたので、郊外にある立派な日本家屋に案内された時はさほど驚かなかった。ちょっとした旅館よりも大きな家に、家族と使用人たちがいる。しのぶの家のことがあるから、ここでもきっと訓練場か何かに通されるのだろうなと思ったら。
『おはよー森くーん』
『ばっか、もうおはようって時間じゃないでしょ。こんにちはでいいと思うわけー』
『なんかオハヨーの方がいいような気がする、というわけでオハヨーだ。芸能界ではいつもオハヨーだと聞いたことがあるう!』
『いつからうちらは芸能人になったの?』
『おはようございます、森くん』
『ようよう、昨日ぶりだなー蘭磨!』
『こんちゃー』
『おはよう、おはよう、おはよう、おはよう、おはよう!とりあえず五回言ってみるなど!』
『おっはよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!』
『ひゃっふうううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう!』
『広いぜえええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!』
『や、蘭磨。ここでかいよなー』
『……ナニゴト?』
まあこんなかんじ。
居間で待ってたら、次から次へとクラスメイトが襲来するのである。今日の用件が、転生者たちの戦いや特訓とは無関係であることは明白だった。気づけば広い和室は、子供達でいっぱいになってしまっている。
「おい、信花……」
一体どういうつもりだ、と暗に尋ねると信花はにっかり笑って言ったのだった。
「決まっておる、今日はみんなで遊ぶのじゃ!」
「は?」
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