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凛空と律子の二人に、どのようにコンタクトを取るべきか。子役とマネージャーならば、テレビ局などで待ち伏せ。するべきか。
その日、しのぶの家で特訓が終わった後、蘭磨は信花、しのぶ、エリオットと共に会議をしていた。一番の問題は、彼等がどのようなタイプの敵かわからないことである。
それこそ人のいるところで声をかけたら、その場で本性を現して周囲の人間を巻き込むかもしれない。もしそうなら、人気のある場所でリアクションを取ること自体が危険だが。
「多分、それはないと思います」
エリオットがそこは否定してきた。
「そもそも、最初に私を襲ってきた時、彼等は狭間の空間を使っていました。他の人間を巻き込んでも構わないタイプなら、そんな手間はかけなかったんじゃないでしょうか」
「……なるほど。まあ、浅井長政だしな、そんな卑怯な手は使ってこないか」
「何を言う!そなたを不意打ちした時点で充分卑怯であるぞ!」
ソファーの上、信花は足をばたつかせて怒る。今日、彼女は訓練場ですっころび、顔面から落下するという醜態をさらしていた。鼻の上に大きな絆創膏もあるし、ご機嫌斜めなのだろう。
「そりゃ、俺が覚醒してない時点で襲ってくるのはどうかと思うけど」
蘭磨は彼女を宥めるように言う。
「森蘭丸、の能力が浄化だと知ってたなら、先んじて俺を潰すのは方法としてアリだぞ?俺が覚醒したら、いくらお市の能力で相手を洗脳したって解かれちまうんだ。相性悪すぎる敵をさっさと潰しておくのは兵法の定石ではある」
「それはそうかもしれんが!」
「それよりも俺は、一か月向こうが何のアクションも起こしてこなかったことの方が気になる。その間に襲撃してこなかったのは、ひょっとして……」
その時、エリオットのスマートフォンが鳴った。彼の着信は、初音ミクの曲を設定しているのでわかりやすいのだ。
短い音で途切れたということはメールかLINEだったということだろうが。
「……噂をすれば影、とか日本語ではそう言うんですよね?」
エリオットは言った。そういえば私、あちらさんの連絡先登録させられてました、と。
「お市さんから、招待されてます。……明日の夕方四時に、某廃工場にて。来なかったら、信花さんたちの学校をめちゃくちゃにする、そうですよ」
彼はこちらにLINEの画面を向けてきた。蘭磨は眉間に皺を寄せる。
そこに表示されていたのは紛れもない、自分達の学校の写真であったのだから。
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