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女性は目を閉じて暫く何も言わなかった。
少し時間が経った頃、静かに目を開けた。
「…恵は、先日…亡くなりました。」
こんなことがあって良いのだろうか。
やっと事実を知れたのに、姉妹はもういないなんて、酷過ぎる話ではないか。
何もかもが、信じられない。
その時、私の脳裏に一つの疑いが浮かんだのだ。
まさか、双子の姉妹が亡くなったので、代わりに私がここに連れてこられたのではないだろうか。
「…そんな…それで…まさか…私が代わりに呼ばれたの…?」
女性は静かに私の手を取り、自分の手と重ねた。
「勝手な事ばかり…本当にごめんなさい…神宮寺家の跡取りとして、貴女を呼び寄せるしかなかったの…」
「…私は…これから、どうなるのですか…」
私はこれからのことが急に不安になって来た。
私が恵さんの代わりになると言う事なのだろうか…。
「貴女には、これから神宮寺家のお嬢様としての教育を受けて欲しいの。そのために貴女には教育係も兼ねた執事を二人用意したのよ…彼等はとても優秀だからいろいろ教えてもらってね…」
女性の言葉を聞くと、最初に会った美しい二人の男性が私の横で膝を着いた。
すると、男性達は順番に自己紹介をするのだった。
「先ほどは、失礼致しました。龍崎 圭吾(りゅうざき けいご)と申します。よろしくお願い致します。」
龍崎と名乗るこの男性は、大人の落ち着いた雰囲気があり、どこかセクシーな雰囲気だ。
端正な顔立ちで、意志の強そうな黒い瞳が印象的だ。
キッチリとセットされた艶のある黒髪が少し額に落ちているのも魅力的だ。
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