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「なおらない。寝癖も頑固だねえ」 「ひかりのなかで俺は頑固キャラなわけ?」 「……お仕事、時間ないんじゃないの」 「あ、やべ」  それとなく会話を途切れさせて、大和が立ち上がるのを見つめた。彼は私へと手を差し伸べて、軽々と私を立ち上がらせる。 「準備してくるわ」 「うん、いってらっしゃい」  大和が時計を見ながら私の頭を撫でて、あっさりと遠ざかっていくのを見送る。  その間、私はずっと胸の内を渦巻いている感情をかき消すことに必死だ。 「準備、しなきゃ」  無心で料理を済ませ、ダイニングにプレートを置く。  しばらく呆然と立ち尽くして、結局私はテレビ前のソファに座った。  仕事用の携帯を取り出してメールを確認し、仕事に集中しているふりをする。  こんなことをするくらいなら、顔を合わせずに家を出て行ってもらえばいいのに、懲りずに私は彼が家を出る瞬間を見ようとしてしまう。 「ひかり、なにしてんの」  ぼんやりと考え込んでいるうちに、ディスプレイが大きな手に隠されてしまった。顔を上げると大和はすでに着替えを終えていて、頭に残されていた寝癖も綺麗に消えていた。
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