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「俺、大和さんみたいな俳優になりたいんすよね。事務所も違うんですけど」  きらきらと輝く目で笑った岡田は私の反応を見るようにミラーへと視線を移した。  紛うことなき期待に満ち溢れた瞳に、曖昧に微笑む。  星大和が所属する事務所はこの業界ではうちの次に大きな芸能事務所であり、星大和はその事務所の看板役者だ。  若手の俳優であればもちろん、彼を目にする機会は多いだろう。しかし、岡田漣と星大和のポジションは対極にあるように見える。 「仲がいいんですか?」 「いや、俺が勝手に慕ってて、……たまーに昼とか誘ってくれます」 「あはは、たまーに」  自発的に誘ってランチに行く相手なら、大和にとってはおそらく、かなり仲がいい方だろう。まったく知らない交友関係に動揺しつつ、努めて視線を外した。  大和は交友関係が広くて、社交的で、面倒見がいい。だからむしろ、これまで一度も大和の親しい人間に遭遇しなかったことのほうが不自然だ。  家というごく小さなエリアでしか出会わない相手の話を別の角度から聞かされるのは、恐ろしく居心地が悪い。 「でも大和さん、夜は誘っても絶対来ないんですよあの人。奥さんのこと、めっちゃ大事にしてるらしくて、飲みの席にきたとこ見たことないです。……ブレーク前に籍入れてたとかで、どんな人なんすかね?」  まさかこの会話をしている相手がその星大和の婚姻相手であるなどと誰が思うだろう。思わず苦虫を嚙み潰したような表情になってしまいそうで唇を噛んだ。
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