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 早朝の連絡は水野愛子からのものだった。 『ごめん、タクシーが事故っちゃって、現場行くの遅れるかも』  一人ぼっちの玄関でそのメッセージを三度眺め、急激に冷えていく体を叩き起こす。  いつも、いつだって大切な人は星のように煌めいて流れ落ちていってしまう。どうして私はそれを忘れてしまうのか。 「ど、うしたら」 『ひかりは大丈夫』  パニックを起こしかけたその時、ふいに耳元に誰かの声が聞こえた気がした。 『大丈夫だって。ひかりは一人じゃない。いつもそばにいるじゃん』 「や、まと……」  何度も根気強く囁いてくれたことを覚えている。だからだろうか。苦しい時や辛い時、いつも大和の言葉が思い出される。  彼は私が、彼の言葉をお守りみたいに大切に抱きしめていることを知ったら、いったいどう思うのだろう。  ――きっと私がどうしようもなく大和を必要としていることを知って、ずっとそばにいてくれるだろう。 「それじゃだめ」  それではもう、だめだ。  私は一人で立ち向かって行ける。 「大丈夫、私は大丈夫」  震える唇で自分を叱咤して、冷えきった指先を動かす。着信履歴から電話を折り返して、すぐに耳に当てた。無機質なコール音のあと、間をおかずに電話が繋がる。 「愛子ちゃん? 怪我はない?」 「昌さん? うん、ごめんね。朝っぱらから」
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