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「さあ、どんな人なんでしょうね? 見当もつかないです」
「たぶん、めっちゃ美人ですよ。あんな男前が夢中になるんすから」
「あはは、そうなのかな~」
「間違いない。たぶん雨の日の花屋の前とかで出会ってますね。きっと大和さんの一目ぼれとかで――」
実際の私たちの関係は、周囲の誰かが思うほど美しくもなく、ロマンティックさなどかけらもない。
当然出会いは花屋の軒先でもなく、大和が私に一目ぼれをしたはずもなかった。
星大和との出会いのことは、正直あまりよく覚えていない。いや、よく覚えていないという言葉は正確ではなくて、明確に覚えている部分とそうでない部分が混在している。
あの日私は、自殺を試みようとしていた。
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