1

11/16

814人が本棚に入れています
本棚に追加
/161ページ
「さあ、どんな人なんでしょうね? 見当もつかないです」 「たぶん、めっちゃ美人ですよ。あんな男前が夢中になるんすから」 「あはは、そうなのかな~」 「間違いない。たぶん雨の日の花屋の前とかで出会ってますね。きっと大和さんの一目ぼれとかで――」  実際の私たちの関係は、周囲の誰かが思うほど美しくもなく、ロマンティックさなどかけらもない。  当然出会いは花屋の軒先でもなく、大和が私に一目ぼれをしたはずもなかった。  星大和との出会いのことは、正直あまりよく覚えていない。いや、よく覚えていないという言葉は正確ではなくて、明確に覚えている部分とそうでない部分が混在している。  あの日私は、自殺を試みようとしていた。
/161ページ

最初のコメントを投稿しよう!

814人が本棚に入れています
本棚に追加