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「うっそだ。昨日いやな感じで別れたもん」 「ぜーんぜん? 旦那さんといちゃいちゃしてきたからね」  少しも気にしないで欲しくて事実を脚色して話したら、目の前のその人は、ぽろりとサラダを落とした。可愛らしい目を丸くしてまじまじと私を見つめている。 「えっ、旦那さんの話初めて聞いた!」 「うん? そうだっけ」 「ききたい」 「え、いやだ」  まさかそこを掘り下げられるとは思ってもいなかった。急激に恥ずかしくなって目を逸らすと、がっちりと箸を掴む手を握られた。  水野愛子の丸い目にありありと好奇心の色が浮かんでいる。 「えっ、イチャイチャって……えっ、旦那さん、超性欲強くない? 朝まで!?」 「ちょっ、ちがう、ちがう」 「ま、たしかに晶さんはマジで可愛いけど、……えっじゃあ朝からってこと!? 寝起きを襲われてた感じ?」 「違うって!」 「ひかりさんの旦那さん、エロいね」  相手が星大和だと知られると、大変なことになってしまいそうだ。焦りと羞恥心で顔が熱くなる。どうにかして誤解を解こうとしているのに、彼女は深く納得したかのようにウンウンと頷いている。 「愛子ちゃん? 本当に違うんだからね?」 「ふは、わかってるよぉ。晶さん、こういう話苦手なんだ? かわいいね」
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