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「私が愛子ちゃんのマネージャーになって、何年経ったと思う?」 「……十年?」 「そうだよ。もうね、私なんて水野愛子ファンの最古参でしょ。その辺の人たちとは年季も違うし、見てきた数も違う」 「はは、なんで私のファンと張り合ってるの」 「だって私も水野愛子のファンだもん」  本心だと伝わることを願って囁いたら、大きな瞳に揺れていた宝石がぽろりと彼女の頬を伝ってこぼれ落ちた。  彼女は流星のように輝く涙を拭うことなく私を見つめている。同じように、決して私も目を逸らさなかった。 「私は見てるよ。ずっと見てきたからわかってるよ。愛子ちゃん、毎日汗だくになりながら頑張ってるでしょ。全然上手くなってないなんて嘘だよ。毎日成長してるし、もっとずっと素敵になっていくんだなって確信してるよ」 『でもひかりが言いたいなら、ちゃんと言ってやったらいい。すげえ嬉しいだろうから』  大和の声が聞こえる。瞼の裏で、屈託なく笑っていた。 「人を好きになったくらいで、呆れたり幻滅したり、するはずがないじゃん。……知らない誰か全員に好かれようとしなくていいよ。大切な人に届けたいって気持ちで頑張ればいい。それとも愛子ちゃんは人を好きになったら、もう頑張れないの?」 「……ちがう」
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