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 異常者だと思われるのが恐ろしくて――いや、違う。ただ私は、大和のマネジメントを務める男性に、悪い印象を持たれたくなくて、不甲斐ない自分をひた隠しにしていただけだ。  ここで悪い印象を持たれてしまったら、大和と一緒にいられなくなってしまうかもしれない。  心に浮かぶおぞましい感情に、強く唇を噛み締めた。  心が形にならないように必死になっていた。どうにか押し隠そうとして、素知らぬふりを続けていた。 「っ……よかっ……た」  けれど、ただ一度顔を見るだけで強張った全身から力が抜けてしまいそうになる理由を、隠し通せるはずもない。  眠る大和の隣に立ち、彼が健やかな寝息を立てていることを確認する。その瞬間、崩れ落ちるようにその場にしゃがみ込んだ。  軽傷と聞いていた通り、外傷はそこまで酷くなさそうだ。やはりどちらかというと、疲労が溜まっていることの方が問題なのだろう。 「ただ疲れて眠っているだけだそうです。三日ほど、稽古は休みをいただきました。その間安静にできれば問題ないかと思います」 「……それは、ご迷惑をおかけしてしまって申し訳ありません」  ふらふらと立ち上がり、まるで彼の身内のような言葉を口にして頭を下げる。私の行動に、溝口は顔色一つ変えることがなかった。
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